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日本も厳寒だが、当地もマイナス気温の時期を迎えた。 晴れた日の陽射しは艶めいて20℃を超え春を思わせるが、夕方から朝にかけての寒さは厳しい。にもかかわらず国はガス欠乏という状態で、ストーブの使用にも限界がある(オバハンは例によって痩せ我慢生活でストーブを使用しない)。多くの家庭では調理もままならないという(オバハン宅ではガス使用の多い時間帯を外して調理をしている)。  またガス利用の車輌などに対しても、「ガスが欠乏している」との理由でガソリンスタンドでは週に3日間しか販売をしないとあって、スタンド前の道路は長蛇で渋滞が酷い。
国民は国にガスがないと思っているようだが、現実にはそうではないらしい。政府へ国民の不満の目が向かないようにと、「何か1つ、日常生活に不便なことを作り出す」のが常套手段だという。 そういえば…あったなぁ… 2~3年前にも砂糖がない、主食の小麦粉がない、食用油がないとスタッフたちの食料確保に走ったことが…。

さて、2週間近く前にパンジャーブ州の知事が暗殺されたが… 今後はこれが大きく問題を残しそうだと息子も案じている。 知事を暗殺した警護の男は、一部の宗教指導者たちから称賛を受け、逮捕された後は胸を張り、「得意満面」で裁判所へ表れ、迎えた人々や弁護士たちから「バラの花びら」を振りかけられ讃えられたと報道されている。
しかし、こうした「殺人」が許され正当化(情状酌量などの余地)があるならば、過激派などの「やりたい放題」に拍車をかけると良識派は案じている。 弁護士協会では、暗殺犯の弁護に手を挙げた約300人の弁護士、裁判所で暗殺犯を讃え花びらを振りまいた弁護士を協会からの除名をしたとも伝えられている。 暗殺された知事も、「イスラーム冒涜法改正」について、ごく良識的な意見を述べたに過ぎなかったにもかかわらず、暗殺されてしまったのだから、今後は何事につけ、自分の意見は公には出来ないと言う風潮に繋がってしまった。

知事の葬儀で祈りをささげる聖職者が見つからなかったのも、その表れの1つだ。葬儀で祈りでもしたならば、たちまち原理主義の宗教家たちから「暗殺指令」が降るやもしれない。パキスタンは別の暗黒社会へと突入しつつあると言えるかも。 ますます暮らし難い国になっている…

ムシャラフの指名を受け2007年11月に、陸軍参謀長に就任していたキヤニ参謀長の去就がここ1ヶ月あまり、取り沙汰されていた。 キヤニ参謀長自身は、「後進にもチャンスを…」と、潔い態度で引退表明をしていたので、単細胞なオバハンなどは「権力に執着しないのか!」と、感動したものだ。

年初のニューズウィークなどにはパキスタンを握る(世界にとって…だったかな)重要人物として、キヤニ参謀長が紹介されていた(ザルダリ大統領やギラニ首相は紹介されず)  キヤニ参謀長は原理原則に忠実、かつ早朝から世界情勢などの勉強にも勤しみ、現職について3年近いが汚職の噂も今のところ聞こえて来ないし、パキスタン国家に対してはキヤニ参謀長以上に忠誠を尽くす人はないとまで、国民に認められている。またメディアの評判も良い。 引退されたらパキスタンがどうなるのか判らない昨今、危惧した人は多かったことと思うから、その再任(延長3年)が決まったのはパキスタンという国にとっては喜ばしいことかも。
だから3日ばかり前に、ギラニ首相がキヤニ陸軍参謀長を「再任する」と異例の早期指名をしたのには、パキスタンを取り巻く諸般の状況があった。その中で最も重要なのは、アフガニスタンの安定にはパキスタン軍部の協力が必要と見たアメリカの意向であったろう。


先の20日から、カーブルでアフガニスタンの今後について検討する「アフガン復興国際会議」が開催されていた。日本も岡田外相が出席し、アフガンの治安向上、イスラーム戦士の社会復帰などに大層な支援金を出すようで、日本はアメリカに次ぐ第2のアフガン支援国として、5年間で7000億円近い支援金を出すことが決まっている。  しかし… 良い子の顔をしたアメリカ主導のアフガン復興支援国際会議の陰で、パキスタン北西辺境州では何が起こっているか??? 

先般、ペシャワールの知り合い(日本ともビジネスをしている、当地の基準では金持ちたち)3人がイスラマバードまでやって来て、長々と打ち合わせをしていたが、遠目から見ていても雰囲気が異様に暗い。
後で聞いたところによれば、北西辺境州に暮らす金のある住民たちは居竦み状態だと。 「武装勢力側(タリバーン)からは協力費何万ルピーとか何十万ルピーを出さないと家族を殺す(かちこむと)脅迫状が届き、家族を守るために言われたようにタリバーンへ協力費を出せば、数日後には治安警察がやって来て、タリバーンへ協力したと家族の中の男たちは警察へ引っ張られ、拷問を受ける」
「武装勢力と官憲が裏で手を組んでいるという単純な構造ではないと思える、アメリカが裏で双方を操って混乱を助長しているとしか思えない。イスラマバードへ家族共々、逃げて来たいが逃げれば後ろ暗いところがあるとして官憲に付回され、普通の生活は出来ない」と。

アメリカは、北西辺境州になんとしても駐留しようとし、現地で混乱の種を熱心に作っている。良い子の顔をした陰でのアメリカの仕打ち… 住民の反感をますます募らせているだけなのに。

今冬は異常な寒さだったとギルギットの住民たちは口を揃えて言うが、アフガンでもパキスタンでも特別に「寒さが厳しい」とするニュースはなかったような気がする……と、4月に入った今頃になって今冬を思い出している。

ギルギットでは-20℃もの厳寒日が続いた冬が終わり、2月半ばからセンターが再開。気候が徐々に暖かくなり、毎日の卒業制作にも力が入り、いよいよ4月3日に修了式。と思ったら… は~い、始まりました、始まりました。 
昨朝早い時間にギルギットから電話があり、「センター前へと入って来る大道路、チェックポストで宗派間抗争。銃撃戦で3人が死亡し、紛争は拡大の恐れがあるので修了式を延期する」と。 昨春のこの時期、おなじく修了式の真っ只中で銃撃戦が始まり、町の道路が封鎖されて陸の孤島となる前にと、転げるように逃げ帰って来たものな…  やはり、経費はかかるが教室を小分けにして活動をする方向になりそうだ。

パキスタンの独立系シンクタンク「パキスタン平和研究所」では、年初めに昨2009年の「武装勢力によるテロや、戦闘などで1万2632人が死亡、負傷者は1万2815人。06年に統計を取り始めて以来初めて1万人を超えた」とする報告書を発表していた。テロや銃撃戦の件数にして2008年の倍以上になっていた記憶がある。 それ等の報告によれば、死者の内訳は武装勢力7945人、民間人3476人、治安当局者1211人。08年の死者は計7997人、負傷者は計9670人としていた。

アフガニスターンへのISAFやNATOの増派で、アフガン・パキスタン国境付近での軍事作戦強化、パキスタンで非難が高まっている卑怯きわまりない米軍の無人機攻撃は、今年度も継続方針だというから、この無人機による攻撃が、逆に武装勢力への支持層を広げ、テロの急増を招いているとの見方は強い。何時も思うがアメリカが攻撃を強めれば強めるほど、一般国民からの反発も強まり国内でテロが増加しても不思議ではない。アメリカがパキスタンの不安定化を加速させているとの確信を、オバハンは何時も持っている。

出た出た~~~出た~~~ パキスタン軍総司令部GHQで起きたテロ、そして立て篭もり事件で……
「パキスタンでは軍が核兵器の管理をしているから、今回のテロ事件は『核の流出』に対する『懸念』を深めたと。アメリカ様は、きっと国際社会に対して、これを言いたかったのだろうな!!
まぁ、実際問題として、軍総司令部にテロリストを入れてしまった不始末。単に不始末との表現では済まない大汚点… さぁ軍部と政府はどう対応するのか?


岡田外務大臣が電撃でアフガンを訪問。北京からドバイ経由でアフガンへ、そしてパキスタン、インドネシアと精力的だ。しかし、そんなに飛び回って熟慮する時間があるのか?(いずれも現地滞在は1日だけで)モノが見えるのか?大丈夫なのか?  そのために多くの役人や専門家たちがメモ帳を持って岡田外相の目となり耳となるらしいが…
日本政府はアラビア海での海上自衛隊による給油支援活動を「単純延長しない」と言っている。これは当地に暮らす我々から見れば支援不要のシロモノだから、断固止めて欲しい! 第一、給油されたものがどう使われているかも明確にされていないのだから…
ただ、国際社会と歩調を合わせる意味合いでは、給油に代わるアフガン復興支援は必要だろう。アフガンの人々に水と雇用の確保が出来る民生支援を。

そしてアフガンからのチャーター機が時間通りにイスラマバードへ到着していれば、今頃、岡田外相は空港からホテルへの道を走っていることだろう。アフガンでは、反政府勢力タリバーンの支持基盤を切り崩すための支援(職業訓練、就業の機会の提供)を表明と報道されていたが、アフガンだけではなくパキスタン側でも同じことが言える。武装勢力を抱えてしまったアフガンとパキスタンは、一体として見た方が良いだろう。
ただし、反政府勢力タリバーンの支持基盤のある北西辺境州で雇用の創出支援はなかなか厳しい。国民の血税でもある莫大な支援金だけを、どこかへ丸投げする支援だけは止めて欲しい。

ここ数年、世界には巨大地震が多い。早いものでパキスタン大地震からも丸4年が過ぎた。被災者たちの自助努力によって、今では捜さないと被災跡は気がつかないほどになった。世界中で起こる巨大地震については、若い従業員までがアッラーの神のお怒りを被っているなどという。

また一昨日はアメリカがアフガンを空爆してから8年だ。アメリカの誤爆によって家族8人を殺されたオリファから先ごろ、「家族7人、なんとか暮らしています」とのメッセージ付きで、可愛い子どものアフガンの民族衣装などが送られて来た。オリファは誤爆による被災後は、「アフガン難民を支える会‐SORA」の縫製教室を運営すると共に、内職で子供服を作って生計を立て、子どもたち5人を養って来た。

アメリカではアフガンでの戦いを支持する人が減っていると、多くの報道が伝えている。アフガンの反政府武装勢力タリバーンも「米国にアフガンから撤退するように」と、正式声明を出したなどがアフガン現地紙で報じられている。
アメリカが「テロとの戦い」だとする大義名分を振りかざし、日本も追随して来て8年が過ぎたが、何時まで「テロとの戦い」を続ける気なのか? アルカイダなるものはアメリカが作り出した、実体の無いテロ集団だと言われて久しい。現実に超過激な思想を持つテロリストは多くはなく、生活のために戦闘員となっている人も多いのだろうと思う…。 また、アメリカに使われていることを知らずして戦闘行為を続けている武装勢力も居ることだろう…。

8月初め、アメリカの武装無人機によって殺されたベイトーラ・メスードがまとめ上げていたTTP(パキスタンの親タリバーン武装勢力の連合体)なども、2年ほど前に急激に台頭した武装勢力で、ベナジール・ブット元首相の暗殺の声明を出して表に躍り出た…  部族地帯で武装集団を統合、戦闘員2万人以上を抱えると言うが… 誰が後ろで糸をひいていたかは不明だが、まったくもって不思議な話だ。 
厳しい生活環境のゆえに、金で動く多くの人々をまとめ上げるためには、莫大な資金が要る。
殺害されたベイトーラ・メスードに代わりハキムラー・メスード司令官が就任。過日は派手なメディアの会見を受け、「パキスタン政府、米国、NATOに報復する」と言明していた。ハキムラーはベイトーラーより攻撃的と、一部で報道されていたが、確かに目は飛んでいる! 

一昨日のカーブルであったインド大使館近くの爆破や、イスラマバードのWFPの爆破。仕掛けた武装勢力集団は異なるかもしれない。が、アメリカ国内で大きくなりだしているアフガンやパキスタンでのテロとの戦いに対する、反対の声を封じ込めようとする、アメリカ自身が作っているテロだという噂は何時までも消えない。


マスコミに載らない海外記事 http://eigokiji.justblog.jp/blog/

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