カテゴリ: ギルギットセンター

考えてみたら、NWA(日パ・ウエルフェアー・アソシエーション)の年次報告などは、このページに書き込めば良いのだと気が付いた。で、昨秋からの分を掲載することにした。

GB州バシャ・ダム(インダス河を堰き止める大きなダム)建設に伴う移住者たち。
近年の電力不足でインダス河沿い、ディアミール県チラスの下流に大きな水力発電のダムが建設される運びになった。 このダムの建設は30年来の懸案で、完成するとパキスタンで使用する電力の25%が供給され、農地への灌漑用水コントロールが可能になる。

ディアミール県の住人約32万人中、約7万人5000家族が政府から得た補償金で古来からの家を捨て、ギルギット、マンセラ、アボッタバードなどパシュトーン色の濃い土地へ移住しつつある。おかげでギルギットでは土地の値上がりが甚だしく、首都近郊よりも高いという現象。

ディアミール県(35万人)はGB州の中で最も治安が悪く就学率は低く、10年生まで行く女子生徒は全体の1%しかいない(2015年政府発表)
ジュティアール村では昨秋に続き今春も簡単な聞き取り調査をした結果、ただの一度も学校へ行ったことのない女性が82%以上もいたのには驚いた。 当然、算用数字は知らず(書けず)1桁の足し算引き算も出来ない。
ダム建設で移住者が急激に増えているギルギット南西山裾に広がる新興小住宅地ジュティアールでは、1年半前から縫製教室はすでに開かれているが、今回は識字教室も開いて欲しいという強い要望があった。
「文字を知ることで人間として向上したい」「人がましくなりたい」との発言は、共に40歳前半と見受けられる女性2人からだった。
文字を知らない=半人前という意識が多くの人にあることが分った瞬間だった。というわけでジュティアールには識字と算数教室の2つが追加された。

パキスタンは元宗主国イギリスの学制を布いていますから、毎年進級試験があります。進級試験で落ちこぼれるのは小学校3、4年生の算数で躓くから…と思い込み、この数年は村々での算数教室に力を入れて来ました。
しかし2014年の調査では、初等教育で落ちこぼれる主因が算数だけではないことが分りました。

子供たちが初等教育の5年間を無事に修了できない原因の一つに、教科書代は無料になったものの、夏冬の制服や靴、カバン、文具類には少なからずの現金が必要なことがあります。現金収入のない田舎、子たくさんが普通の家庭では子供の制服、靴、カバン・文具代一式は給料の半月分近くにもあたり、学校へやることには、「現金が要ること」が障害になっています。

替えの制服を用意できる家庭は僅少です。
特に田舎の女生徒たちは、初潮が来れば学校へ通わなくなります。学校や家庭で女性の身体の仕組みや、衛生的な処置を教えられることはありません。汚した場合の着替えの制服がないという理由もあります。生理期間中を部屋に篭って成長して行く女生徒のために、今年からは手作り布ナプキンなどを、村々で展開している縫製教室では積極的に指導して行く予定です。

昨日、1ヶ月間におよんだ断食月が明けました。
センターも22日までお休みです。

ふと、NWA(日パ・ウエルフェアー・アソシエーション)の活動報告14年度分を載せてみようと思い立って…… 先般の報告会でも配布した「ニュース・レター」を引っ張り出してみた。
な、なんと……5年以上もギルギットのニュースを載せていない。我ながらショックだ。

ーーーNWAセンターは、女性たちのオアシスーーー
2004年の起工式から丸4年、2階建て8教室、母子保健室、栄養指導・料理教室、2つの大きなホール、事務室、職員室。センターとは背中合わせに、日本人ボランティアのための宿舎(3部屋と事務室、台所、居間など)が2008年に完備。  外国からのNGOが賃貸住宅を事務所にする中で、NWAは子供平和基金など、皆さまのお蔭で立派な自前の建物を持つことが出来ました。
「自前の建物である」ということは、2~3年の腰掛的な支援ではない。そのことが地域の信頼を得る元となっています。また、センターの教職員、生徒たちも立派な建物に胸を張って通って来ています。

パキスタンの(旧)北方地域はアフガンに接する(旧)北西辺境州と並んで閉鎖的な地域です。成人女性の一人歩きなどはあり得ません。バザールで買い物をしているのは初潮の訪れに遠い少女か老婆だけですが、それもめったに見かけることはありません。病気になっても女性だけでは病院へ行くことも出来ません。男性のエスコートが必要な社会なのです。

田舎では安全の確保(自衛)と経済的な事情のために、大家族で暮らすことが普通です。女性たちの多くは、「1軒の家に30人もが暮らし、互いの行動を見張ってアラさがしをし合っているような生活には息が詰まる。家の中にいるだけで気分がクサクサする、なんとか1時間でも息抜きに外へ出てみたいが機会がない」と嘆きます。
NWAセンターでは様々な習い事が出来ます。
結婚を前に料理や栄養について学ぶ教室は何時でも定員がオーバーです。GB州(旧)北方地域で唯一の料理・栄養教室では、近年、増えつつある成人病予防の献立が中心です。パキスタン料理では大量の油を使います。一家族20数人で使用する油は1か月に15~25リットルであり、まるで油を飲むような食生活です。また妊婦へのお見舞いには、貧しくて物のなかった時代の名残で、バターが(昔はどこの家でも牛やヤギを飼い、その乳を使って家でバターを作っていました)一般的です。妊娠中に1人の女性が消費するバターは6~20㎏だと言い、体重が20㎏も増えて出産に支障をきたす人が増えています。さらには出産後に元の体重へ戻る間もなく次の妊娠を繰り返し、20代でコレステロール値が異常に高い女性もいます。
貧しかった時代の名残で、今でも「太っている女性は良い(美人)」と考える風潮がパキスタンにはありますが、健康を考え正常値を知って貰おうとNWAの保健婦は村々への巡回に熱心です。
昔からの、現地に伝わる価値観はなかなか変えることが難しいものです。ギルギットなどはカラコルム山脈の麓とも言える地方にあり、平野部で生産され、幾つもの峠を越えて運び込まれて来た砂糖などは貴重品でした。砂糖の代わりに岩塩を使用する、チベットなどと同じように塩味の紅茶を日に何杯も飲む習慣のあるギルギットの人々が、塩と油の使用量に気を付ければ、どれだけ成人病(特に心臓病)の予防になることでしょうか。

先般の涼しさは何処へやら… 3日前から徐々に気温が上がり出した。きょうは40℃を少し超えたかと思う。
イスラマバード在住の日本人有志女性たちの活動されるボランティア団体、「ジャカランダ(春に薄紫色の小花を咲かせ、街路を霞のように彩る)」が、 (日本人会で)かき氷大会をすると。そして、そこでギルギットの女性たち手づくりの小袋に入れた岩塩やスパイス、紅茶などを売って下さると。

ジャカランダの会からはギルギットの女性たちへの支援にと、手回しのミシンや布などもご寄付下さり、普段から色々なご支援を頂いている。

今回もNWA活動のパネルを「かき氷」の会場へお運び下さって宣伝に努めて下さった。売り上げは上々!!宣伝もバッチリ!!  ご支援に深謝いたします。

若い頃は超せっかちで、何にでも直ぐの結果を求めてカリカリしながら他人の2倍は動いたオバハンだが… 何事もなかなか上手くは行かない神の御心のままに暮らすイスラームの国、パキスタンでの生活が30数年ともなると、自分でも信じられないくらいに「待つこと」に苦痛を感じなくなった。 これ等の生活が進歩なのか後退なのかは、さて置き、スローライフに快適さと一抹の誇り?を感じるようになったから我ながら不思議だ。

日本からパキスタンへ持って来た柿や銀杏(ギンナン)の種。タイからも持って来た(楊貴妃が好きだったという)ライチやポメラー(ザボンより美味しい大きな柑橘)を種から育て、果樹園や銀杏並木にしようなどという気の長い話、昔なら考えられもしなかった。 アフガニスタン産の赤ん坊の頭ほどもある立派な柘榴、これは実から苗を作りオバハンの田舎である滋賀県で何本もが成長しつつある。はやく朱鷺色の艶やかな花を見せて欲しいものだ。あわよくば…赤ん坊の頭ほどもある大きな実も…

いずれも乾燥地のアフガニスタンで植樹などをし、苗活着の厳しさを知ったから、苗を育てることの愛おしさを余計に感じるのかもしれない。 大昔は種を蒔き、芽が出ないと土をほじくって種の状態を見、芽が出たら早く伸びろと芽を引っ張った自分自身はなんだったのか。

母子センターの高塀に沿って銀杏並木が出来れば、どんなにきれいだろう! 日本のように「落ち葉の始末を!」と近所から怒られることもないパキスタン。 当地の人は硬くてパリッとした甘柿を知らない、パリッとした甘柿を食べさせたらどんなに驚くだろう!(当地で柿はジャパニーズ・フルーツと呼ばれ、柔らかく熟々のものを食べる) 庭の片隅に植えれば10mにも伸びる八升豆、厳しい日差しを遮り食用にも良いとなれば、どんどん広げて行きたいものだ等、考えて実行に移していると夢はふくらみ飽きない。

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