2021年08月

米中央情報局の長官とタリバンのナンバー2が、バイデン大統領の指示で「秘密の会談」を行ったとBBCやCNNで報道されていたのが数日前か。そして1昨日はISの自爆テロを機に「反テロISに向け共同戦線」とも報道されていた。そして昨日は、タリバンがアメリカ大使館の存続を望むことを明確に示したと、共同通信やロイターが伝えている。いやいや何というスピードで物事が展開しているのか、新生タリバンの柔軟さ??凄いとしか言いようがない。執行部はそれほど今後のアフガン・イスラーム首長国に対する国づくりに真剣なのだと受け止めるべきだ。元々、中国やロシアは元々大使館を置いたままにしておく方針だし、他のイスラーム諸国も大使館は残す方針だ。大使館を置くということはアフガン・イスラーム首長国をれっきとした国として承認することでもある。
仮にアメリカが大使館を存続させると言うのであれば、他にも多くの国が大使館を存続させることだろう。欧米に追随することに必死な日本政府も。ともあれアフガン・イスラーム首長国の執行部は国づくりを欧米諸国に手伝ってもらおうという意志を見せていることになる。1兆ドルとも3兆ドルとも言われる膨大な埋蔵資源を持っていても、それらを開発する術を持たない「金鉱(膨大な埋蔵資源)の上にの暮らす貧者」との自覚があり、今後あらゆる面で中国やロシア、西側諸国からの支援を得ようとしている。
そうした新生アフガンの立場に、自分の国を持たないISテロ集団は不満なのだろうか。ISはタリバンがアメリカと和平合意し、自分たちの居場所が無くなることにも反対なのだ。


今週はアフガン問題に固執していたせいか、週末というのになんとなく気疲れが取れない。
一昨日のカブール空港のテロを機に、タリバンと米軍が「反テロ」で協力か・・という記事がニューズウィークにあった。「敵の敵は味方」を地で行くような展開だが、テロ撲滅ならそれはそれで結構でもある。タリバン側も28人もの犠牲者を出し、米軍と手を結んででもISの存在を許さないという気になったようだ。米中央軍の司令官マッケンジー将軍は「ISによるさらなる攻撃を警戒、一部の情報をタリバン側と共有している。だからタリバンによって幾つかのテロ攻撃が阻止された」との談話を載せている。パキスタンでも「〇〇方面テロの脅威。〇〇には近寄らないように。外出自粛など」の警報が度々出されるが、脅威が判っていても事前には中々防げないようだ。事前に防ごうとの努力もしているのだろうが、100%防いでしまうと内部にいる軍や情報部の放っている、スパイの存在が判明してしまうからだろうか。
ISに限らず、タリバン(正式にはタリバーン:イスラーム神学生)ISの戦闘員などは幼いころから偏狭なイスラーム知識を詰め込まれ、ある意味、純粋培養されている面が多い。数年前、田舎で10数ヶ所のモスクと神学校を訪ね歩き、色々な調査をさせて貰ったことがある。導師などの言うことに一切の疑問を持たず「神のために死ね」と言われれば行動できる若者が生まれていく過程の一端を見た。ある程度の年齢になれば「純粋」さに+α(結婚して子供でも出来る)などがあって少しは考えることもあるようだが、純粋な若者は怖い。

昨日、宮田律先生(現代イスラーム学会研究センター理事長)が、過日のオバハンが書いた「日本政府の欺瞞政策」と、まったくと言って良いほど似たことを書いておられた。日本政府の「姑息」な方針には誰でも似たような思いを持つ。日本政府は、アメリカなどの同盟国?と足並みを揃えて「見せる」ことに意義があるとでも言うように、自衛隊機を派遣し、結果はどうであれ、満足したのかしらね。いったい幾らの税金を使ったのか、野党は厳しく追及して欲しいわ。

日本政府のお偉い方々は、弾の飛んでこない安全な場所にいて「空港内は米軍に護られ安全なので、アフガンからの自衛隊機の引き上げは考えていない」と。が、昨日2発、きょう未明の1発騒ぎで死者100人以上とも。現場アフガンやパキスタンに来られている自衛隊の人たちはビビッているだろう。だが、ここはイスラーム的に「神の御心」と思って頂くしかないな。
在アフガンの残留邦人、日本大使館や日本関連の事務所で働いていた人々の退避に携わる使命があるとは言え、状況がイマイチ把握し難い中での心細い「待機」。日本国内では地震や風水害などでの活躍は「当然」のように思われ、海外への派遣となれば自衛隊の存在が「合憲」か否かと事あるごとに問われ、隊員の多くは肩身の狭い思いでもあろうに。それを思うと正直、隊員の方々が気の毒でならない。
自衛隊の存在は日本国の独立、平和、安全を守るために必要とされる機関。国際法上では軍隊とみなされ「自国を防衛するために必要な範囲で武力を行使する権利」もあるというふうに、最近では自衛隊の存在に昔ほど目くじらを立てる風潮も薄まっている。だが厳密な意味での「憲法9条」には違反していると考える人はまだまだある。オバハンも昔はそう考えていた。しかし時代は変わって来ているし、日本が武力行使をしない国だからと「敵国」が攻撃して来ないわけでもないだろう・・さらには敵国インドやアフガンに挟まれて暮らすようになって、自衛隊なるものの存在に理解の範囲が増したな。今や「憲法の改正」が必要な段階かも。だが政権政党が怪しくて、素直に改正賛成とは言い難い。
何よりも20年近くも前に、某自衛官の方から聞いた悲惨な「海外派遣」が耳から離れない。当時は武器の携帯が禁止されていた。我々は大きな日の丸国旗だけを持たされて、撃って来る相手に向かって旗を振る。「敵対行為はしない」なんてことを大声で伝える、そんなパフォーマンスで目的を達成し、かつ命を守れますか、危険を凌げますか??と。そう仰っていた自衛官の話が耳にこびり付いたままだ。今では若干の武器の携帯は認められるようになり、アフガン派遣の方々も小火器の携帯はされているそうだが。

*今夕、自衛隊機が1便、退避者を乗せてアフガンからパキスタンへ戻って来るとか。もう既に到着しているかもな。

昨夜、自衛隊機が「退避の人たち」を乗せてアフガンからイスラマバードへ戻って来るかと想い、割りに遅い時間まで待っていた。が、何の連絡もなく案じていたら、今朝のニュースで「自衛隊機はカブール空港へ到着したが、退避を求める人たちが空港には着いておらず、退避者を運び出すことが出来たかった」と報道されていた。一方、知り合いの退避希望者は「(英米の調査機関発表)イスラム国による空港周辺へのテロ(攻撃)の脅威が高まっているので、空港へは行くな」という警告を、米大使館が出していたので自宅に篭もっていたと。退避者と日本政府側、なかなか上手く連携ならんものやねぇ。自衛隊機オペレーションの人たちも退避者も「待つ辛さ」で肝が焼けるだろう・・自衛隊機2機で今週末までに最大500人の退避を完了させるらしいが。
昔、治安の悪いころ、陸路でアフガンからの戻り道、パキスタンの国境ゲートを越えた途端に気の緩んだことが記憶に蘇った。アフガンからパキスタン側の国境ゲートまでは、目に見えないモノに追われるよう、息を詰め浅い息を繰り返しながら車に潜んでいたものだ。パキスタンの地を踏んだ途端に深い呼吸が出来、身体の筋肉が緩んだ自分にあの時は驚いた。パキスタン側、周辺山々の緑が鮮やかだったことを、フトした時に未だに思い出すことがある。当時、アフガンへの行き来には陸路を使うことが多く、自宅からカーブルの事務所までの約500kmの悪路を数十回は走っていると想うのだが、そのうちの何度かには、呼吸困難に陥りそうな状況があった。きっと、いまカーブルで自衛隊機を待っている人たちも、浅い呼吸を繰り返していることだろう。

*当地のニュースはさすがに速い、カブール空港での爆発ニュースを映像入りで流し、死者26人とも。犯行はタリバンに敵対する過激派ISイスラム国の可能性が指摘されている。

いま不快さ頂点間際の中でブログを書き始めた。僅か2日前の23日に自衛隊機をアフガンへ派遣すると、唐突に決めた日本政府。もう今夜にはアフガンからの第一便がパキスタンへ戻って来るのかもしれない。アフガニスターン・イスラーム首長国は昨日の記者会見で「現地の日本人などを退避させるについては問題ないとの認識。ただし米軍の撤退期限と同じく8月末までに」と念を押していた。それはそれで良い。
問題はJICA等など日本政府関連で働いていたアフガン人に対する、日本政府が発出した「アフガン人退避オペレーション」なるものの内容だ。きょうの夕方オバハンは、知り合いのアフガン人医師(日本でJICAの研修済み。かつ5年間余もオバハンたちのアフガン支援プロジェクトには同行)のために「規定」を見に行ってみた。僅か2日前に自衛隊派遣を決めたとは想えない「迅速」な日本政府の対応とも言えるが、まず最初に「現時点で殆どの座席が埋まり、数が限られている」と断りがあり、これには驚いた!
「日本への避難を希望する人は、日本での滞在を保証する身元保証人が居る人。保証人は退避者の住居、生活費等を全面的に負担できる方。パキスタンへの退避者は自力でパキスタンのビザ取得(申請後数日かかる)かつ空港まではリスク覚悟で自力で到着せよ等々」を明記。2日前に自衛隊機派遣を決定、さらには退避者に対する退避条件の発出、僅か2日ー3日でこの条件を満たす書類の作成、そんなアフガン人がいったい何人居るというのか。希望者は諸々詳細をリストにして提出、後テレビ電話などで面接。本オペレーションは今月末のアメリカ関係者云々と続き、最後に今回の退避について、難民として認定するものではない等の注意書きがある。テレビ電話!?ネット回線なども充分ではない中でテレビ電話・・息子に言わせると「搭乗者は内々で早々とセレクトされ済みや、不思議でもなんでもないがな。政府のやることやで、利益を受ける人は初めから決まっているンや、アンタ、いまさら何を騒いでいるンや」と!
イスラマバードとカブール間は約1時間ばかりのフライトだ。輸送機に搭乗出来るのは97人とか書いてあったなぁ・・と想いながら、2機で8月末までに毎日アフガンとパキスタンを往復したとして・・など等を考えながら、日本政府はいったい何人を退避させるつもりでいたのか、既に満席に近いとはどういうことよ??1日1回2機×5日間のフライト、約1000人の退避、既に座席が埋まっているならば、どういう人たち「条件に合致して」退避出来るのかと不思議でならない。
アメリカ様に言われ、リスクがあるのも承知でのパフォーマンスだけ、人道的立場なんておためごかしもないのかとも。

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