2015年05月

カラチでイスマーイール派の住民を乗せた朝の通勤バスが、3台のバイクに分乗した6人の武装集団に襲われ、テレビの報道によると46人が死亡、13人が負傷したと。

パキスタンでは国民の97%がイスラーム教徒であり、大多数がスンニー派である。国内の宗教統計に関する公式数字では、97%のうちの10~20%がシーア派であるとされている。10~20%などとは…なんとまぁ大雑把な数字かと、呆れるが。
イスマーイール派はシーア派の一分派で、パキスタン国内には6~700万人の信者がいると言われている。
ただし、一部スンニー派の人々には、「イスマーイール派は異端であり、イスラーム教徒とは言えない」とする意見もある。
イスマーイール派は、宗教的寛容と女性の社会進出を謳っていること。飲酒を否定しない、断食をしない人が大半であることなど、戒律の緩いことが異端と言われる因かもしれない。

GB州(旧)北方地域の州都ギルギットではシーア派、スンニー派、イスマーイール派の人口は拮抗している。
約40年前には日々、食べることにも事欠いた極貧の中にあったイスマーイール派の人々が、カリフ(イスマーイール派における教祖)の生活指導によって、女性教育の充実から現在ではパキスタン随一の識字率を得ることになった現実と、相互扶助の徹底などから貧しさを脱却。いまやパキスタン政府もモデルとする国内最大のNGOに成長し、幅広い分野で活動している。
また、女性の教育に力を入れた結果、いまでは国内随一の高い識字率(98%)を誇り、共稼ぎが普通の生活であるために家庭への収入は多く、「良い教育―>良い職場―>高収入―>子供たちへの充分な教育―>さらに高収入の得られる職場へ」というサイクルの生き方をしている。
優秀過ぎて目立っているので、原理主義的なイスラーム教徒、過激派には嫉妬も受けやすい。
今回の襲撃に対しては、TTPタリバーン運動の一グループが犯行声明を出している。

シャリフ首相の招待によって(旧)北方地域ツアーには、各国大使(夫人)総勢36人が4機のヘリコプターに乗って参加していた。そして、そのうちの1機がカガン渓谷のナランに近い場所で墜落し、6名が死亡したとの報道に国中が騒然とした。

パキスタンの武装勢力「パキスタン・タリバン運動TTP」が犯行声明を出したが、それはないな。
確かにTTPは10日ばかり前からシャリフ首相を狙っている。他、あちこちに暗殺やテロ予告を出していた。が……、このヘリコプターの墜落は純粋に事故だろうと想う。そもそも(整備不良なのか、何か)パキスタン軍のヘリコプターは比較的、よく落ちる。

先般、日本の首相官邸の屋上に無人航空機(ドローン)が落ち、大騒ぎになっていたが、パキスタンでは米軍の「ドローン」よるパキスタン・アフガン国境への攻撃を初め、パキスタンの報道陣なども早々とドローンによる映像取材を敢行し、ドローンをフル活用している。 ウチの広告代理店のコマーシャル作成でも、ドローンは活躍している。ドローンに関してはパキスタンの方が日本より先行していたのか…と、日本での「反応」に、ちょっと驚き。
すでに世界で4万台以上が「飛んで」いるし、中国製のドローンなどは安いというのに。

ネパールの地震から1週間が経った。ネパールも平坦地の少ない国、その被害の大きさが想像できる。
10年前の2005年秋10月、パキスタンも大地震の見舞われ8万6千人が犠牲になった。少しでも傾斜のある場所に建てられた石や日干し煉瓦を積み上げた家は、震度が3くらいでも影響を受ける。ネパールでの被害の全貌がつかめるのにはまだまだ日数もかかろう。オバハンたちも被災地の悲惨さは知っている。
約半年間の現地支援活動では、泊まるところもなくオバハンたちも道路わきで暮らした。その折の顛末は、以下に書いた。  *パーキスタン大地震(バケツ一杯からの支援)合同出版社


さて、5兆5000億円の中国による支援。中国から首相が来た折には、パキスタン空軍の戦闘機8機が護衛に出撃。その後の世論調査では、「パキスタン人の98%が中国は友好国、中国が好きである」と答えたと。
そして、その記事の数日後には、中国からの建設従事者などを警護するために政府は1万人の軍隊を出すと報道されていた。 この1万人に関しては1、2か月前にも記事になっていたから驚きはしないが、警護の理由が「中国人は嫌われているから、危険だ」というものだった。
いやぁ~ 矛盾した記事が堂々と掲載されるところが面白い。
そもそも人前でのインタビューや質問に、本音を言う人があると考えている新聞記者の方がオカシイ。 5兆5000億円の支援は歓迎するが、中国人は大嫌いだというのが本音に近い。

さて、きょう2日は「夏も近づく八十八夜」と。
昔からこの日を境に日本では霜が降りる日が滅多になくなると言われている。パキスタンも昔ならばこの季節には40度を超えていたものだが、今年はとにかく雨が多く全体的に気温が低い。3日前は一気に気温が下がって土砂降り、数回にわたって雹まで降った。オバハンは未だにフリースのベストが離せない。

↑このページのトップヘ