2014年12月

数日前、政党MQMの党首が「テロリストを養成しているアジズ師を逮捕せよ」と、身の安全なイギリスから喚いていたが・・・・・・一昨日、アジズ師が逮捕された。確かにアジズ師はタリバーンを強烈に支持している。ムシャラフ政権時に、政府から騙し討ちに遭い、以来、反政府発言にはさらに筋金が入った。
アジズ師の「我々は500人の女性自爆テロ志願者を抱えている」などの発言は有名だし、頭から虚妄と捨てきれないものがある。

だが、ペシャワールの学校襲撃後、モスクでの説法に「陸軍が行っている武装勢力の掃討作戦は反イスラム的であり、ペシャワールの学校襲撃事件は掃討作戦に対する報復として正当化される」というものは詭弁にもならない。やはりテロはテロであり、絶対に許すことは出来ない。

我が家から400mほどの距離にあるモスクの前で、アジズ師がテロ反対のデモを行った市民活動家たちを脅した疑いという罪状での逮捕だから、その逮捕の理由もイマイチと言えばイマイチだ。
とにかくパキスタンのタリバーン連合の跳ねっ返りどもは、アフガンのタリバーンからも非難をされ、「武装勢力は、治安当局だけを標的にするように」という、武装勢力同士に対するアフガン・タリバーンの呼びかけも、いささか滑稽といえるのだが・・・



庭師が伸びていた背の高い生け垣を刈り込み、庭木が葉を落としてしまうと意外な近さにマルガラの丘が見え、家を選んだ時にマルガラの丘が見えると、嬉しかったことを思いだした。寒さのせいで朝は濃霧が深く、メトロの大工事も相まって首都の粉塵はなはだしく、我が家の前道路と空き地を挟んだ向かい、50mにある家も普段は霞んで見えないのが、きょうは久々に見える。それにしても空気が汚い、PCの上に積もる土埃も半端ではない。

一年中で一番寒さを感じる冬至が過ぎて、あと二週間もしたら陽射しが変わるかと思えば、少し嬉しい。とは言え四月になれば暑さが始まり、半年近い酷暑を耐えるのだが。
酷暑の頃には電気が極端になく、寒い折にはガスがないという状態になって数年だ。こうした生活が首都で続いているのだから、地方ではもっと電気やガスがなく、生活が厳しいことだろう。

貧しければ不平不満が起こって当然だ。貧富の格差はますます広がっている。シャリフ首相の一族は(国会ならびに、州議員だけでも75人)もいるというではないか。地方議員を含めれば一体どのくらいの議員がいて、オコボレにあずかっているものか。 一族郎党にのみ利益が落ちる体制。まぁ、この点は、ブットやザルダリの時代も同じだったし、パキスタンに蔓延る悪弊の一つであって正すことなどは不可能に違いないが。

それらインフラにせよ、悪弊にせよ、根本的なところを改善もしないで、「テロ事件を取り扱う軍主導の特別法廷設置などを盛り込んだ対テロ行動計画を発表」してもなぁ…  
911同時多発テロ以降、アメリカでは反テロのためとして新しい法律を次々に成立させた。その最たるものが、「攻撃を受けそうだと思ったら、先制攻撃が許される」というものであった。
アメリカに同盟国として組み込まれ、パキスタンはイスラームを軸に国は2つに割れた。イスラーム原理主義者や過激派と称する神学生たちを、パキスタン政府が過度に締め付けた結果が、今の混乱の元となっているのを、政府は学習していない。力で人の心を押さえ込むことなど出来ないのに。

子供たち150人からが犠牲になった学校襲撃事件を受けた措置として、「テロ事件を取り扱う軍主導の特別法廷設置、テロ事件に関与した者の刑執行を迅速化。さらにはテロリスト養成の温床とされるマドラサ(イスラム神学校)の規制も実施する」とは、首相の発表だ。
数週間以内に500人の死刑が執行されれば、武装勢力に一部が、さらに反発を強めると想うのに。

ペシャワールの学校が「飛び撥ねっ返り」武装勢力に襲撃され、150人からが殺されたことを悼む全国的な服喪の3日間があり、昨日終わった。 武装勢力に対する抗議デモが行われたと報道されているが、イスラマバードでは約100人の集会で、大抗議デモがあったとは言い難い。

代わりに2008年から停止していたテロ犯2人の死刑執行を、首相が決定したと伝えられている。また近日中にテロ犯18人が処刑されると報道されており、いずれもテロ犯の処罰を強化するためだという。
パンジャブ州の内相談として、「この日のテロリストの処刑は国民の士気を高めるだろう」と伝えているが、これも見方によれば、報復の報復ということにはなるまいか。もちろん家族や子供たちを殺害された親たちにしてみれば、テロ犯に厳罰は当然と思う。
だが、こうもあからさまに報道をしてしまえば…… 武装勢力からは、「さらなるテロ」に、という危惧が残る。

カラチに本拠を置くMQM政党の党首は、「2007年のラールマスジッド事件の首謀者アジズ師がテロ犯を養成している、アジズ師を捕えろ」的なことと、これも安全なイギリスから喚いているようだが、そもそも、あのラールマスジッド事件では政府が対応を誤ったと言える。アジズ師を強硬なテロ希望者養成に走らせた責任は政府にあると、オバハンは7年たった今でも思っている。

昨日はイスラマバードとピンディで、レンジャー部隊と警察による取り締まりがあり、、300人を超える容疑者〈外国人を含む〉が集められたと報道されている。ヘリコプターが舞々しているなぁ…とわざわざベランダまで空を眺めに行ったが、装甲車や探索犬まで出てのテロリスト捜索だったようだ。レンジャー部隊による厳戒態勢だが、安心は出来ず、当面は外出も控えるようにとの強い「お達し」が出ている。

冬休み、クリスマス休暇を兼ね、イマバード在住の外国人たちは1週間以上も前に早々と国外脱出をした。

3日前、ペシャワールで学校が襲撃され150人からが殺害されたが、タリバーン連合TTP内の「飛び跳ねっ返り派」が、さらに学校を襲撃するという趣旨の声明を昨日、出したと報道されている。

前にも書いたかもしれないが、オバハンはボケ防止を兼ねて某大学の研究科に在籍している。テーマは当初まさに、テロリストを一人でも生み出さないために・・というものだったし、今ではパキスタンの初等教育の現場で調査を重ねる生活なので、アゴラに掲載されていた以下の記事には凄く納得するものがある。

* 政治 マララ氏はテロ支援者―教育先行はテロを生みだす


とにかく、マララが世界に向かって、単に「私は挫けない、途上国の子供たちに教育を。みんなも頑張れ、頑張れ」と言っているだけの姿勢には、ますます違和感を感じている。もっとも、何度も書くようにマララのスピーチは、すべて英国のコーディネイターによるものだが。
そして最近、何人もの専門家もそれらの事実に気づき始めたようだ。

今回、学校で実際に子供を殺されたり、負傷させられた親からしてみれば、それもマララの背景にある英米機関のヤラセ狙撃を知っている親たちからしてみれば、「殺されなかったオマエは何でも言える。安全な高みから『頑張れだの、テロには負けない』などと、言って欲しくもない」とハッキリ言っている。

昨16日朝から夕方まで続いていた、ペシャワールの学校が武装勢力に襲われ141人もの死者を出した事件(まだ死者は増えそうで痛ましい限りだが・・・) 事件昼前のニュースで知って、気まぐれブログに書こうと思った時は、「まだ事件が終息していない。軍によるテロリスト掃討中」だと聞いて、え~と改めて驚いた。

オーストラリアのカフェ人質事件後、直ぐのことで色々な意味で衝撃が大きい。世界各地でイスラム過激派、あるいは、その思想に共鳴する者たちによって事件が続く。
オバハンは週に2回くらい子供たちを学校まで迎えに行く。学校の周辺を数台のレンジャー部隊が巡回しているし、学校の敷地手前からは登録者以外は入れない厳重さだ。運転手だけに任せて「子供たちのお迎え」を済ませるわけにはいかないくらい、治安は悪い。

そもそも(と書くべきか?)今回のペシャワールの学校襲撃事件も、数日前に軍が起こした北ワジリスタン地区での、20回にもおよぶ空爆で数十人の子供が犠牲になったことへの報復とTTP報道官は言っているとか。文字通り報復の連鎖だ・・・ 報復は10世代におよび続くというパシュトーンの掟にも依っているのかもしれない・・・、
16日朝、ペシャワールのコンチネンタルホテルへ、会議のために出かけた知り合いは、「ホテルまであと少しというところで、激しい銃撃音なので、慌てて引き返した」と、言っていた。報道によれば、8時間にわたって教室を順に回って子どもたちを殺害したとあるが、実際には12時間以上をもテロリストの掃討についやしていたようだ。
タリバーン連合体には各地の様々な武装勢力が集合している。強力なリーダーとなるべき人間がいなくて、それぞれがTTPタリバーン連合を名乗るのだから始末におえない。



一昨日だったか、イスラマバードは今冬一番の寒さ、0℃にまで下がった。その上、濃霧で陽が射さず、寒い事。日本も荒天と、みなさんご自愛を。

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