2014年07月

ううう~~ 先週はまるまる暑く、連日42~43℃とあって睡眠不足になったせいか、真夏には発症したことのないメニエール病が週末には出た。で、眩暈の不快さに、根性で暑さに対抗する気力も失せ、ついにエアコンのリモコンを度々握るはめとなり、きょうも断続的に握っている。自分に負けたのが悔しい。

さてさて、パキスタン政府が行っているテロ掃討作戦。パキスタンとアフガンの国境付近、北ワジリスターンだけではなく、ディアミール(ナンガパルバットの北面)へもヘリコプターを飛ばし、オペレーションを波及させたとの小さな記事があった。 なにしろディアミール地域は、登山やトレッキングのお客様が嫌でも応でも通過しなければならない地域(平野部から山岳地帯への一本道)なので、続報が気にかかっている。
この「カラコルム・ハイウエー」と称する山道は、急斜面からほぼ恒常的に落ちて来る大岩・小岩・石・土砂等で穴ぼこだらけ。結果、平均時速20~30kmくらいでしか走れない。 時に、強盗たちは道路上に一抱えもある石を並べ、運転手や助手が車から降りて石を退けていると、武器を持って出て来る…なぁ~んてことがありえる地域なのだ。断食明けの大祭まで半月足らず、現金の必要な時期は目前だ。

パキスタン政府が武装勢力に対するオペレーションを開始したのは6月15日。それから本格的な掃討作戦に至るまでが約2週間。 ナワーズ・シャリフ首相の「掃討」に対する意気込みというか、掛け声は勢いが良かったが、武装勢力の主なメンバーは北ワジリスターンから逃走したことであろう。
確かに北ワジリスターンの町は軍のオペレーションによって徹底的に破壊された。砲弾でズタボロになった住居群の写真を見て、その酷さに誰が住居を元へ戻すのか? 住民に対する保証はあるのかと大いに気にかかるところだ。武装勢力に協力していたと見なされ、1円の保証もない可能性もあり得ると想うから…オバハンはついつい案じてしまう。保証を受けられない恨みが何処へ向かうのかと。

軍による掃討作戦、正直… 国民はどこまで期待したものか…とも思う。期待した成果不足でとどまれば良いが、倍になって返って来るのではたまらない。

6月半ばからパキスタンの外務省は、国内の外交団や外国人に対しても大型ショッピングモールや欧米系の建物への出入り、目立った行動をしないようにとの注意喚起を何度も発出し続けている。
武装勢力への掃討作戦で、外交団や外国人への報復等を大いに懸念しているのだ。

今朝の新聞でも、何百という武装勢力が政府軍の攻撃を前にして、長い髭と髪を短くし一般人のふりをして武装勢力地帯から逃げ出したと伝えている。 かってアフガンでタリバーン政権が倒れた13年前にも同じことがあった。彼らも長い髭を短くして難民に紛れて多国籍軍の攻撃から逃れ、地に潜った。そして復活した。

現地、北ワジリスターンの中心町にある散髪屋がAFPへ話したとして、「政府軍の攻撃を前に、私は700人もの男の長い髭と髪を切り、景気が良かった。髭と髪を短くした中には武装勢力のリーダーもいたウンヌン」と。 事実、武装勢力の最高指導者はアフガンへ逃亡した模様で、まだ逮捕されていない。
実際に、長い髭さえなければ、一般人と見分けはつかない。三々五々、男同士で手を繋いで歩いていても誰も怪しむまい。大都市以外には、これといった仕事などはなく、暇そうにブラブラしている男たちで町も村も溢れているのだから…
地図で見れば武装地域から山越えで真北へ走り、ぐるっと東へ1週間~10日も歩けば、ディアミール地方のインダス河沿いにポツンとある、サジンという警察署近くの谷筋へ道は続いている(ただし、サジン警察署が襲われたのかどうかは、オバハンは知らない)
髭を剃って大都市へ紛れ込んだ者もあろうし、ディアミールへ逃げた者もあるだろう。道は何処へでも続いている。

金曜日の「民兵40人がディアミールの警察署を襲った事件」
パキスタン政府もオバハンが感じたような懸念を持ったらしく、カラコルムハイウエーを走ってギルギットやスカルドゥへ向かう海外からの観光客には、警察からの護衛を付けると、正式に発表をした。(すでに3年くらい前から、警察車両にコンボイの前後を護られ、路線バスなどは20~30台もが連なって走るようにはなっている) 
パキスタン最大の観光地である北方地域への行動制限、観光業者としての日パ旅行社には辛いものがある。

金曜日の未明、パキスタン北部(スカルドゥやナンガパルバットの南側)で強震があったと。 ただし震源地もマグニチュードも詳細不明とあったので、地震で雪崩などが起こり、登山隊などが巻き込まれていないのか等、気にもなったし、昨日は続報を捜していた。

続報はなく、地震に関しては大きな被害も出ていないようだが、代わりに嫌な記事(1段6行ほどの小さな記事)を見つけてしまった。
「金曜日の夜、ディアミール(ナンガパルバットの北側)で40人ほどの民兵が警察署を襲撃。スタッフを人質にとってロープで縛り上げ、弾薬や警察官の制服を盗んで逃げた」と。
ということは… 近々、ディアミール周辺の何処かでお金を持った誰か、外国人が襲われる可能性があるということではないのか??? 普段から強盗に遭う心配をしながら走る、あの地域…

今朝の新聞では、「政府軍は武装勢力の潜んでいる北ワジリスターンの40%を掃討し」と報じている。しかし、陸続きならばどんな険阻な山も武装勢力は苦も無く逃げて行くとオバハンは想っている。ディアミールなどは、パキスタン人であっても普通の人ならば通れない(通して貰えない)険阻で閉鎖的な地域だ。現にアフガン側へ逃げ込めなかった武装勢力が山越えをして逃げ込んでいるのではないのか。ディアミールで警察署を襲った民兵が、逃亡した武装勢力とは限らないが、一般人が絶対に入り込めない閉鎖的な地域、北ワジリスターンと似たような地域、人心…となると、今後が案じられる。 


1日の断食の終わる夕方7時20分。日没とともに響き渡るサイレン音。一瞬にして時間が停まり静寂が訪れる不思議な「時」がオバハンは好きだ。 誰もが一斉に水(ジュース)を飲み、アッラー(神)への感謝を捧げる、イスラーム教徒としての連帯感。断食を試みた者でないと理解の出来ない充実感。

カーブルにあった「アフガン難民を支える会ーSORA」の事務所を2008年に縮小。庭が無くなった事務所で犬は飼えないと、ギルギットにあるNWA母子センターの広い庭へ2匹の犬を運んで4年余。さらに2012年の12月半ば、年老いて来た犬たちに、時には-15℃にもなるギルギットの冬を過ごさせるのは可哀そうとイスラマバードへ連れて来たが、年長の「ノリカ」が亡くなった。 
アフガンでは支援サイトの山岳地方(3200m)にも付いて歩き、ギルギットでもセンターを守るためにシッカリ役立っていたノリカだった。
埋葬に先だっては、アフガンから来た犬なので、「アフガン難民を支える会-SORA」の古い垂れ幕に包んだ。垂れ幕はナンガパルバット地震の支援物資を運ぶ時にも、トラックに付けていたものだ。

考えてみれば日本からの多くの方々、中でもJRの労働組合の方々からのご支援を受け、その先頭に立ち、この15年近くは支援現場で責任者を務めて来た。 アフガンは今、また、タリバーンが勢力を盛り返しながら混沌に向かっている。
アフガンでもパキスタンでも「タリバーン」をテロリスト集団のように報道するが、タリバーンという単語に、いつもオバハンなりの反発をしている。武装勢力の集まり自身が、便宜上「タリバーン連合」と表現しているから悪いのだが……タリバーンはテロリスト集団ではないのだ!と、オバハンは腹を立てている。 

パキスタン政府は4日前から武装勢力たちの居る北ワジリスターンに対し総攻撃を開始した。 癌の摘出手術に例えるならば… 悪性癌細胞を1つ摘出し損ねても、どこかに転移して再び増殖するだろうに…… 
イスラーム過激派を追い詰めない寛容な宗教的共存と、貧しい彼らが日々3食、安心して食べられ、子供に教育を受けさせることも出来る社会。なおかつ働き場所があれば…… 社会が少しは安定するのではないかしらん?
不公平感が武装勢力を生みだしやすい土壌になっていると、オバハンはいつも想っている。そして年を追うごとに貧富の差は激しくなり、不公平感が世界中に蔓延し、騒乱に発展している。

さほどの降雨量ではなかったが、昨夕の雨で気温が30℃になった。きょうは少しは仕事をしなくっちゃ…
暑くて集中できないからと、考える仕事はすべて先送りにしてさぼって来た1ヶ月半だ。

ついに集団的自衛権が「憲法解釈を変更して容認する」として正式に合意された。合意になってから「反対」というのも遅いが…
合意の前夜には首相官邸前で大規模なデモだったという。また新宿では男性がガソリンとみられる液体をかぶって、、ライターで火をつけ集団的自衛権の行使容認に反対する演説をしていたと。

主要新聞数社の世論調査では、反対50数%~60%、賛成32%という数字になっている。どういう神経の人々が賛成をしているのか、オバハンには想像もつかない。

他国同士の戦争や内戦など。また先の大戦を体験していない、想像することも出来ない、平和な日本で暮らしている人、戦争を知らない若い人には理解がおよばないだろう。
だが、安倍首相の言うよう、「外国を守るために日本が戦争に巻き込まれるという誤解がある。しかし、そのようなこともありえない」とする、理屈の意味がオバハンにはまったく理解が出来ない。

集団的自衛権を使えば必ず、日本人の誰かが巻き込まれる。集団的自衛権のために他国へ赴く。例えばそれが治安の維持であったり、後方支援であっても……「弾」は飛んでくる。 弾の方で判断して避けてはくれない。 パキスタンでは常に治安が悪く、一般市民もテロに常時、巻き込まれている。一般市民だからと「弾」は避けてくれないのと同じだ。

「密接な関係にある他国が攻撃された場合に武力を使って反撃できるようになる」ということは、集団的自衛権の行使は、日本が海外で戦争をすると言うことに他ならない。
首相は。「憲法が許すのは、あくまで我が国の存立を全うし国民を守るための自衛の措置だけ」だ。「外国の防衛それ自体を目的とする武力行使は今後とも行わない」
だから、日本が戦争に巻き込まれる恐れは一層なくなっていくという意味が心底、理解できない。

若い日本の世代には、危機感を持って欲しいと思う。

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