2013年11月

14日から厳戒態勢が続き、ピンディでは外出禁止令などが出たせいで郊外からの生鮮食料品がバザールへ運び込まれず、食料品などが品薄。 昨日はトマトが日当の3分の1にもあたる高値。 主食のアタ(小麦の粗挽き粉)も3割高。 一般庶民が「憂さ晴らし」をしたくなるのも解るというものだ。

学校はきょうから開く予定であったが、ウチの子供たちの学校はきょうも臨時休校ということで、7歳の子供が自宅でPCの前に坐って学校から送られてくる課題に取り組んでいる。5日間もの休校では授業にも支障が出て当然だ。

ラワルピンディでは先日の衝突で亡くなった人のお葬式が執り行われ、多くの人々は外出禁止令を無視して、葬式に出席。 治安部隊は葬列にバリケードを入れようとしたが、さらに混乱に陥りそうだと判断、事態の重要性を考え、政府は人々が葬列に参加することを認めたと。 
イスラマバードでは昨日、衝突で亡くなった人びとのお葬式が無事に済むか、済まないかで今後の治安情勢に大きな差が出ると案じていた。


10日ばかり前に、自宅軟禁中のムシャラフ元大統領の保釈が認められていたのに、昨日、再び、ムシャラフを国家反逆罪で訴追すると内務大臣が発表した。訴追すれば軍部は大きく反発するだろう。
現シャリフ政権はムシャラフを金輪際、許す気にはならないようだ。ムシャラフのクーデターで政権を追われたシャリフは刑務所で地獄を味わった。パキスタンへの支援で力を持つサウジアラビアの仲立ちによってシャリフは国外へ出、政治の場に戻らないと確約をして隠忍の生活をして来た。

しかしながらパキスタンの政治の不可思議は、ブット女史もシャリフもザルダリも、ムシャラフも一時的に海外へ逃避、戻って来て政敵を叩きのめすことに力を注ぐ点だ。この復讐のエネルギーを国家経済と国民生活へと向けて欲しいものだ。
毎日のカレーに使うトマトが日当の3分の1では、食生活は成り立たない。

今年も全国的に荒れたシーア派の行事アシュラだったが、いつからこんなにシーア派・スンニー派の衝突が激しくなったのだろう? パキスタンやアフガンが何時までも落ち着かないのには「理由」があるように、シーア・スンニーの衝突も意図されたものだと、ニュース解説者が口にするようになった。

幸い首都イスラマバードは荒れなかったが、過日、大量の爆薬とともに逮捕されテロ協力者たちの自白によれば、テロを予定していたのはG-6地区にあるシーア派のモスクも含まれていたと。オバハンたちが暮らすGー6地区のモスクで何事もなかったことに胸を撫ぜ下ろしている。

ラワルピンディでは金曜日、一部の暴徒が警察から銃をひったくり、発砲を始めパニックになった人々は、ラージャ・バザーのあちこちで火を付けたという。面白半分に憂さ晴らしをする人間が後を絶たない、困ったものだ。
15日(金曜日)の両派衝突(10人の死者80人の負傷者)から外出禁止令が出され、ようやく本日17日の午後になって外出禁止令は解除になった。この間、携帯電話もネットも使えなかったといい、外出禁止令はラワルピンディだけではなく、相当広い範囲まで拡張され警察だけではなく軍隊の大量動員もあった。

この10日近く家から1歩も出ていない。きょうは野外大バザールの日で買い物を予定していたが、ビビりのオバハンはもう1日だけ様子を見ようと用心した。大昔に弾に当たって以来、「羹に懲りてなますを吹く」生活。

8日夜、10日足らずの日本滞在からパキスタンへ帰って来て気がついたのは、道路の検問が増えていたこと。シーア派の宗教行事も近いことで6日~15日までは厳重注意だろうとは想っていた。
が、現実に「シーア派に対する攻撃を計画していたとされるテロリスト関係者2名が逮捕され、同時に大量の爆発物が押収される事件(11日(月))が市内で発生した」と報じたりされると気分は萎縮する。
おまけに大使館や、米系の機関から「14,15日は絶対に家から出ないようにして下さい」と通達を受けると、さらに気は滅入る。 昨夜は子供たちが「お泊り会」と称して来ていたが、通達を受け取った親たちが慌てて次々に迎えに来、欧米人の子供たちは「お寿司がたべられない」と泣きながら帰って行った。

さらには「本日13日から22日までの間は、コサールマーケットには行かないようにして下さい。知り合いにも広く共有いただければ幸い」とあっては日常生活に支障もいいところだ。 以前からの注意と違うのは「知り合いにも広く共有せよ」という部分で、今までとは異なった緊迫感の表れと見る方が良いようだ。
携帯電話も使えなくなって(オバハン自身は携帯電話を持っていないが) 世の人の不便さは加速している。

大量の爆発物が発見された折に逮捕された2人が、幾つかのテロ計画を「しゃべらされた」ことと想うが、今週はいつも以上の注意が必要になりそうだ。

空は晴れ、外遊びには最高の日和なのに…

日本には真冬並みの強い寒気が流れ込み、青森では70㎝もの降雪で、各地も今季最低気温を記録したという。 当地でも先週から寒気が居座っており、11月上旬とは思えない寒さで、首都から1時間余の丘陵地マリーでも降雪を見た。  旧北西辺境州、アフガンに近いチトラルへの道路も降雪でロワリ峠が早々と封鎖になっているというから、当地でも今期の寒さは厳しそう。 
夏は暑かった、半端でない48℃もの暑さに頭が壊れるかと真剣に思った。 そして今期は冬が1ヶ月ほども早くやって来た。つい先日まではエアコンを付けていたというのに、なんという気候か… そのせいか年々、身体がついていけず眩暈を伴う不調が続いている。身体の筋肉が急激に落ちているせで体温調節もが下手になっているのだろう。

つい先般、武装勢力パキスタン・タリバン運動の代表ハキムッラー・マスードが、北ワジリスタでアメリカの無人機攻撃によって殺害された。後任として代表に坐ったのは組織内で最も強硬派のファズルラ師という。
ファズルラ師は7年前にアメリカの無人機爆撃で親族を失い、それを機に過激・強硬派に転じタリバン運動に合流したと聞く。
アメリカの無人機による攻撃が良い結果を生んでいないことの証の一つだ。オバハンは昔から「1人の親族を殺されたら300人の反米武装勢力が生まれる」と何度も書いて来た。

一昨日は首都近郊でパキスタンの武装勢力幹部ハッカニが2人組のバイクに乗った男に射殺されたと。ハッカニはアルカイダなどからの資金調達を担当だという。
これ等、続く事件の上に明日からはアシュラの行事。今週は一歩も外へ出ることがなさそうだ。

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