2013年04月

未明にちょっとした嵐があったようで、庭木の葉や花が吹き散らされていた。気温が下がって気持ちの良い朝食の席で、ムシャラフの自宅近くで爆弾が見つかり不穏だと言う話から…… 「インテリジェンスは何をしていたのか? 取り締まりが緩んでいないか? そんな近くまで車両を寄せて…」  「いやいや、インテリジェンス自身が爆弾を作って運んでいるンだから…」と冗談ぽく言われた。考えてみれば、これもないとは言えない話だわなぁ… 

一部の報道関係者の間ではムシャラフの94歳になる母親がビョーキだと言われ出した。2~3日後には「病気の母親のために(人道的な対応で)ムシャラフを自宅軟禁から解放し、イギリスだかドバイだかに返してやるべき」だと(裁判所も)言い出すのではないかと。その場合、ムシャラフは誰をも地獄への道ずれにせず、静かにパキスタンから去る。

巷では、ムシャラフは大国に持ち上げられ煽てられ帰国したというのと、「騙され」梯子を外されたというのに2分されている。この国を取り巻く状況と人間のすることは…まったく不可解だ…

ムシャラフが自宅軟禁となって、1軒おいて隣の選挙事務所は人も車も少なく静かだ。しかしウチのスタッフたちは「1日も早く選挙が終わらないと安心出来ません…」と、ムシャラフの選挙事務所を睨んで嘆く。 
昨夕方、イスラマバードの中心(我が家からも車で)10分しか離れていない、ムシャラフの自宅(荘園)がある地域で、約50キロの爆発物を積んだ車両が捕まったと。警察によれば、爆発物はリモートコントロールにより起爆するように設置されていたが、当局により安全に処理されたと。

4日前、ムシャラフ前大統領は「反テロリズム法廷」に出廷し、2007年に非常事態を宣言の折に多数の裁判官を自宅軟禁下に置いたことが「テロ行為」に当たるかどうかを審理された。が、ムシャラフは非常事態宣言の書類に署名をしたのは自分だけではない。何人かの軍責任者(現陸軍参謀総長キヤニも含まれる)も審理には引きづり込んでやる!自分だけが地獄へは行かないと息巻いたそうだから、想像を逞しくするならばムシャラフに生きていて欲しくない人間が増えつつあるということか…

選挙戦は静かに進行中。PPPパキスタン人民党の垂れ幕やポスターにはザルダリの写真は無く、ベナジール・ブットの写真と候補者が掲載されているだけだ。PPPから立候補している人間たちも、ザルダリの写真を一緒に載せることのマイナスを良く認識しているということだ。PPPも分裂の可能性が出て来たということだろう…

ムシャラフ前大統領は逮捕されたものの、昨朝はすぐさま仮釈放になり自宅へ戻された。ムシャラフの暮らすイスラマバードの自宅(広い荘園)は首都の中心から車で10分、素晴らしい果樹園や高級野菜を栽培する荘園が続く地域にある。おかげで近所でおなじような荘園暮らしをする人たち(大金持ち)は道路封鎖に遭い、困難したという。 その荘園地区でムシャラフを護ったのは陸軍から派遣された正規のレンジャー部隊というところが凄いと思う。この国が民主政権ではなく軍事国家とみられる所以だ。退役したとはいえ正規のレンジャー部隊が出動してムシャラフ個人を護るのだから。

ムシャラフを警護していたレンジャー部隊は交代時間だったらしく、昼11時半にGHQへ(だと想うが)帰投中。たまたま道路でレンジャー部隊の車列15台くらいかとオバハンは並んでしまい、彼らが銃口を斜め下に向けているものの、乗用車に坐っている人間から見れば、自分の真正面に銃口が向いているので不気味だった。

報道によれば、「パキスタンの外交や国政の実権を握るとされる軍のトップ経験者が逮捕されたのは初めて」と。ムシャラフは昨日、最高裁に「逮捕命令撤回」を訴えたが、最高裁判所(長官)とムシャラフの確執は6年前の非常事態宣言(確かラールマスジッド事件だったかな)以来で、互いに「やられたからやり返す」という構図になっているから、裁判所がムシャラフの訴えを受け付けるとは思えない。
6年前のムシャラフはアメリカをバックに強権を発揮し続け怖いものがなかった… しかし地に落ちたら叩かれるようだ。誰に(どこの国に唆されたのか知らないが)ムシャラフは何を考えて帰国し、政治の舞台へ戻ろうとしたのかな? もっとも、この5年間は酷い政権だった、ムシャラフは「自分なら国を建て直せる)と思ったのであろうか?????

高等裁判所と選挙管理委員会が有力政治家たちに立候補届の失格処分を連発し始めた後、今朝はムシャラフ前大統領に対し「政権時代に最高裁長官らを不法に拘束した容疑等」で高等裁判所から逮捕状が出たと。こういう司法の暴走を「司法クーデター」と呼ぶらしい。

裁判所前からムシャラフが逃亡したとのニュース後から1軒挟んで隣の選挙事務所前はTVカメラや、アンテナを積んだ報道車の列が300mも。行きかう車両は多く、普段の昼間はめったに聞くことのないタイヤのバーストするような破裂音が聞こえるとドキッとする。支援者たちの車両はオバハンちの前広場を占領。夜中は近所にある大きなトランスのブレーカーが何度か落ち、地響きがして爆破かと家人たちはビビッたらしい(オバハンは熟睡)。

TVによれば「ムシャラフ前大統領の逮捕には陸軍参謀本部の許可が必要だ」と述べたらしいが… いずれにせよ最高裁と高等裁判所は判断を間違った気がするが、どうだろう。
それでなくとも、反政府武装勢力による選挙妨害等々いろいろ治安が悪化する中で、予定通りに選挙を実施しない方向へ動いているとしか見えない裁判所の行動だが。

先の選挙でパキスタンは一応『文民政権』と言うことになっているが、軍部が強い権力を持つ中では退役者も含め軍人が刑事訴追されるのは異例だと。かつての軍トップに対する逮捕命令に現軍部が反発した場合は、国内情勢が一気に緊迫、悪化するだろうと今朝から皆で案じている。

仮にムシャラフの逮捕だとか、治安の悪化だとかで軍部でもしゃしゃり出て来たら… 4度目のクーデターではないか。一部では早々と2ヶ月も前から4度目のクーデターの予測は出ていたが……

きょうはラホールで立候補者等を狙った爆弾テロ等の攻撃が2件も発生。これからは各地で候補者同士が足の引っ張り合い、テロや攻撃等で治安の悪化が進むと。総選挙、予測通りに??えらいこと(予定通りに総選挙が行われない)になりそうな気配。
おまけに高等裁判所と選挙管理委員会が、有力政治家たちに立候補届の失格処分を連発し始めた。確かに軍事政権の後に5年間も続いた民主政権は想像以上に汚職等々が酷かった。オバハンなどは民主主義を訴えて来たPPPパキスタン人民党、そして党首の元首相ブット女史一族による私生活と、国民生活への対応乖離をまざまざと30年も見て来たから期待などゼロだったが、何もかもが想像を上回る酷さ。電気がない、ガスがない、燃料もない、ないない尽くしの生活で一時は大好きなパキスタン暮らしもこれまでか…と絶望さえした。
PPPパキスタン人民党による失政続き、世論の政治不信を背景に選管自ら「世直しに立ち上がった形」と今回の総選挙は言われているが、審査の結果、立候補者の4千人以上が失格になったと。(総選挙は下院定数342のうち、女性や非イスラム教徒への留保枠を除く272議席が争われ、のべ8千人以上が立候補届を提出。同じ日に計577議席が争われる四つの州議会議員選にはのべ1万9千人以上が届け出た。同国では1人で複数選挙区に立候補できる)
当然、ムシャラフ前大統領も「失格」だと…


アメリカの国務長官に対して、我が日本の首相が、「北朝鮮は約束はしても守らない。何度も裏切られたことは忘れてはいけない」と強調したと。 まぁ、そうなのかもしれないが、一国の首相が言って、それが大っぴらに報道されるのはどうかと思うな。そういう些細な積み重ねが重大なことに発展するのを判っていないような気が、オバハンにはしている。
韓国でも保守団体が金正恩の写真を燃やして北朝鮮を刺激したと伝えられている。こうした報道を見ながら、政府vs政府や、国vs国といった交渉事で紛争や戦争が始まるのではなく、民間人の些細な行動がきっかけで戦争になることがあることも知って、重々、気をつけるべきなのに…と少しだけ重い気分になった。 おまけに南北軍事境界線に近いところで、訓練中の米軍機が墜落だって… 北朝鮮に撃墜されたのではないらしいが、墜落場所によっては、これも戦争への口実になる。
もっとも本格的な戦争になったら北朝鮮が何日間、持ちこたえるのか? 持ちこたえようとすれば犠牲者が出る、それもたくさん… 
過日は中国政府が関係各国に対し「挑発し、刺激するような行動は取るべきでない」ってワザワザ呼びかけているのにな…

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