2012年09月

尖閣諸島や島根県の竹島をめぐって日本は、中韓台との攻防がなかなか厳しく、日本国民の一人として憂慮する。 しかし、この中国という国の厚かましさと言うか、必死さ、14億の民を喰わせて行くためのなりふり構わぬ行動には、日本も見習うべきところが一部あるようにオバハンには思える。
中国にはよほど優秀な、将来を見通し国家100年、200年の計画を立てる(立てた)人間がいるのであろう。14億だか15億だかの人間がいる中国だから、天才的な頭脳を持った人がいて当然で、生ぬるく平和ボケして来て、近視眼的な視野しか育てて来なかった日本とは本当に違う。

と思うのは、中国は尖閣諸島のみではなく、フィリピン沖等でも尖閣諸島と同じように領有を主張している海域等が幾つかある上に、なんと!なんと!!! 
約1ヶ月前の当地新聞には… パキスタンのグワダル港に関しても中国が領有を主張し始めたとあったのだ!! 

中国には『真珠の首飾り作戦』と言われているものがある。ミヤンマー、バングラディッシュ、スリランカ、パキスタンなどインド洋沿岸国の港湾建設を支援し、オイル等の資源供給元、中東やアフリカ諸国から中国に至るシーレーンの確保だ。(これらの国々をつなぐとインド洋を取り巻く真珠の首飾りに見えると)  
パキスタンのグワダル港はアラビア海に面しペルシア湾やイラン国境までも僅かな距離で(港湾建設の決まる直前、政府から特別許可を貰って現地を見に行ったことがある)が、中国は上手い場所に目をつけ確保したものだと感心する。
常に南の海に足場を作り、出たいと切望していた中国が(この心理はロシアにも通ずる)工事費の無償供与と借款で港湾建設を開始(パキスタンのことだから借款を返していないな…)。おそらく工事を請け負う条件に何か(借款を返せぬ時にはとか??)があったか、時の政府首脳が巨額の賄賂を貰って「ウンヌン」という密約があったのかもしれぬ?!?とオバハンは妄想を逞しくする。
パキスタン国民は遠く離れた僻地にあるグワダル港のことよりも、日々の生活に精一杯で、政府が強硬な対策でもとらない限り、気が付いたらグワダル港は中国のものとなっていそうだ。

野田首相は本日の国連総会で、「国の領土、領海を守ることは国家の当然の責務。この責務を国際法にのっとって果たしていく」と尖閣諸島や竹島問題を念頭に、日本政府の正当性を主張したらしい。「大人の対応」でと言わなかったのは上出来だわ。

先週金曜日の反米デモ以降、土日の首都は何事もなく静かだった。敬虔なイスラーム教徒の多い旧北西辺境州などは、まだ暫くは荒れそうな気配だけれど。
昨日、「預言者ムハンマッドを冒涜した映画を作った人を殺害したら、10万ドルの懸賞金を…」と発言し、物議を醸した現職閣僚はこの旧北西辺境州の出身。「普段は温厚な人で、あんな発言をするとは考えられない」とか。 しかし現職閣僚の公式発言ではなくとも、その波紋と今後の結果を想い致した所属政党や現政府は「恥ずかしい」発言だと、やっきになって撤回を求めている。まぁ常識で考えてみたら、そうだわな。 しかし現職閣僚サマ、いまだ発言を撤回なさっていない。誇り高いパシュトーン族の現職閣僚サマだもの… 簡単には撤回し難いわ。

ちょっと驚いたのは… この閣僚サマの発言に対して日本の国家某機関が反応したこと。ほ~~~ 日本もこうしたことに神経を尖らせるのか?と。 かって預言者を冒涜した本を翻訳したことが理由なのか??日本国内でありながら殺害された教授があるからかな…  もっとも、この教授の殺害については色々取沙汰(痴情や金銭での怨恨ではないと思う)をされたものの、真相はまったく判っていない。もしかしたら日本政府は『真相』を究明したくなかったのかもしれない。

デモ後日談、金持ちの欧米人や各国政府要人の多くが泊まる首都一番の豪華ホテル6つ星は、デモ隊に2日間連続で襲われ、火炎瓶を投げ込む暴徒に対して付近では物凄い数の催涙弾が飛び交った。ヘリコプターの上からも暴徒や群衆に向かって催涙弾が撃たれていたから、風向きによっては放射能のように家の中まで入りこんだ。 オバハンの家は風向きからうまく外れていたらしく、なんともなかったが、同じ地区の家では目が痛く涙も止まらなかったと。 当然、ホテル6つ星の中では客もスタッフも涙と鼻汁、食品にも臭いがつき食事もままならなかったらしい。
今週、金曜日も礼拝後は反米デモが予定されているから要注意だ。

本日の英字新聞、一面真ん中、1段組みの小さな扱い記事であるところを見れば… 載せる方も悩んだ様子が窺える。 だが、イスラーム教 預言者ムハンマッドを冒涜する映画を作ったとして、パキスタン政府の現職閣僚が(個人的にしろ)映画の製作者を殺害した場合には10万ドルの懸賞金を与える。かつ反政府武力集団やアルカイダにも『崇高な行為』に参加するようにと呼びかけたというから何をかいわんや!!と、良識家で普通の人であるオバハンなどは思うのだが、イスラーム教徒の大半はそうでもないらしい。

20年余り昔、『悪魔の詩』の著者サルマン・ラシュディに対して、預言者を冒涜したとしてファトワー(イスラーム教の最高指導者や法学者などが出す布告)がイランのホメイニ師によって出されたことがある。その折には日本でも悪魔の詩を翻訳した教授が殺されている。が…犯人はつかまらないままだし、真相解明も全くなされていない。また世界でも悪魔の詩に関連し、何人かが殺されている。
その折の宗教的立場から出されたファトワーと、来年の総選挙狙いで自分が目立つために出したような「懸賞金」との間には大きな差異がある。 過日の反米デモの中でTVカメラの前でだけ目立とうとしていた内務大臣も含め、政治家というのは世界共通であざとい。

現職閣僚の「懸賞金を出す」発言に、驚いたのはオバハンだけではあるまい。この発言と波紋に対し、パキスタン政府はどう対処をするのかな?? 写真でその現職大臣を見るに、朝から晩まで暇さえあればお祈りをしているイスラーム教どっぷりの人のようには見えないし(日に5回、額を地面に付けてシッカリお祈りをしている中年過ぎの人には、2~3年で額に直径3㎝くらいの薄く黒い痣と言うかシミと言うか…が出来る)  しかし、この現職閣僚には額のお祈り印がない~~~ ということは?と、オバハンは想像を逞しく膨らませる。

イスラーム教の預言者を冒涜する映画。それを作ったアメリカに対する抗議行動。パキスタンでは世界のイスラーム諸国より抗議行動が2週間近くも遅れた分を取り返そうとするかのように、政府公認の反米デモになった昨日は、酷い1日だった。もっとも全国的な抗議行動にしては、オバハンの予測より死傷者は少なく全国で約300人ほどか。 息子たちのように、車の窓ガラスを叩き割られて破片をかぶったくらいの軽傷者は病院へ行かないから、それらを含めたらドエライ数になるのかも。

(日本での)報道はパキスタン全土で数万人のデモ隊と言うが… どこを見て数えたら数万人に見えるのか?? イスラマバード・ラワルピンディ市だけでも軽く2万人を超えていただろうと思うのに。(オバハンは5万人、10万人、20万人、80万人単位等の集まりを見たことがある。他、敷地面積に占める人間からなどを類推すれば、さらには人口などから推測しても、きのうのデモが全国で数万人ということはあり得ない) 毎週金曜日にある東京での原発反対集会でも同じだろうが、報道というのはいい加減なものだ……

きょうは土曜日で学校は休みだった。しかし、家から外へは出ないようにと連絡等が入っていた。オバハンも午後の礼拝が終わるまでは用心をしたが、モスクから流れて来るイスラーム導師の説教には昨日のように声高い調子はない。通いのスタッフや運転手たちに町の様子を聞いても、みんなが平常だというので極々、近場へ買い物に出かけた。しかし、首都で一番古いバザール・アッパラへの道路はパトカーで遮断されかかっているし、こりゃぁ急いで帰らねば…
野菜は普段の倍値。八百屋の親父は卸売市場に品物がないと言う。気分的に落ち着かないので、大して買い物をすることなく早々に帰って来てしまったが、この4日間は交通網も正常でなかったから店に野菜が無くて当然だ。

さてさて明日は???

きょう21日は大規模な抗議デモになるというので、政府は早朝から携帯電話のサービスを一時停止するよう携帯電話会社に指示をしたが、電話会社によって停止までの時間差が2~3時間はあった。オバハンは未だに携帯電話が(大嫌いで)使っていない化石人間だから痛くも痒くもなかったが、普段から携帯電話に頼り切っている人は不安で不便だったようだ。

午前11時過ぎまでは嵐の前の怖いような静けさだった。走る車の音もなく、門から恐る恐る顔を出すと、歩いている人も居ない道路のはるか先まで見渡せて、右の交差点にも左の交差点にも積み上げたコンテナがない~~~ 「ひぇ~~コンテナが撤去されている~~」とびびったが、きょうは交通機関も全部が止まり首都への道路がすべて閉鎖されていることを思い出して、少しだけホッとした。
しかし気合の入った礼拝前の説教の中、礼拝の前ならばまだ大丈夫だろうと息子が偵察に出、「アカンわ! みんな棍棒の先に布を巻きつけ松明状にして油のビンや缶を手にしている」というので、びびりのオバハンは家中にある消火器20ほどを表に近い場所へ置き直そうかと思ったくらい…

パキスタン政府は本日をわざわざ休日にして、国民に平和的にデモを行うようにと呼びかけていたにも関わらず、一部は本当に過激だった。星条旗を踏みにじったり燃やしたりは全国通津浦々で普通に見られ、(イスラーム的には不浄な)犬や、下品の象徴のようなロバに星条旗を着せ掛け、棒で叩いたり突いたりしながらデモ行進をする人たちも。 しかし……デモ隊の先頭にいる人たちは何をあんなにシャカリキになるのか? 多くの人は静かに行進をしているというのに。

重くて長いコンテナがデモ隊の人たちが気を合わせ押す力で、車が付いているわけでもないのに道路を走り、警察や軍隊による封鎖線を突破する。大通りは封鎖をされていても首都を取り巻く林や森の中、橋の下や草原を押し分け封鎖線を抜けたデモ隊は首都を目指してやって来る。デモ隊を停止させようと催涙弾が飛ぶ。 結果、欧米人が多く泊まる首都一番の豪華ホテルはきょうも過激なデモ隊の襲撃を受けた。
息子も出迎えのお客様の安全確認にと出て、車の窓ガラスを割られ、ガラスをかぶって帰って来た。この抗議デモは明日も明後日も続くだろうと… 抗議デモには反対しない、なんとか静かに『抗議』をしてほしいと念ずるのみだ。

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