2011年09月

ヒステリックにパキスタンを攻撃するアメリカのせいで、「戦争の回避は難しいのかも?!」とマーケットや多くの人が思ったものか、3日前は対ドル、Rsレートが急下落。恐ろしい下げ幅だったが、昨日は中国の首相がパキスタンとの仲の良さを見せつける?ようにを訪問してくれたおかげで、マーケットはアメリカ恐慌から立ち直ったかのように、ほぼ元へ戻った。
今朝の新聞一面トップでは、アメリカは「我々はパキスタンとの関係を断つことはない」だの、「我々はパキスタンのベスト・フレンドである」だの一気にトーンダウン、中国の力を見せつけられた思いだわ… この辺の手のひらを返したかのようなアメリカの外交ぶりは見事としか言いようがない。大国の傲慢と余裕というところか。

アメリカの中にも色々な考えを持つ人がいるように、当然、パキスタンの中にもハッカニ・グループに近い人もあるだろうし、パキスタン政府の中にもタリバーンの支援者は多くいるだろう。こうした人たちの言動を上手く使うことによって外交は成り立っているとしても、大国のクシャミに怯えなければならない弱小国の立場は悲しい。

英字新聞ヘラルド・トリビューン(パキスタン版、エクスプレス・トリビューン)では、「パキスタン軍が、在アフガン米大使館攻撃に関与したとされているタリバーンの一派、ハッカニ・グループの掃討作戦を実施しないことを決めた」と報じている。

ここ2日ばかりのアメリカは、超ヒステリックにパキスタン政府と半武装勢力との関係を責め続けている。今にもアメリカがパキスタンを攻撃せんばかりの激しさだ。一部には本当に米パ紛争になるのではないかと真剣に恐れる人も出て来ている。 パキスタン軍のトップであるキアニ陸軍参謀総長は、在パ駐米大使のコメントにも冷静に対応し、緊急の軍会議を開催したと伝えられている。キアニ陸軍参謀総長の双肩にパキスタンの未来がかかっていると言われるゆえんだ。

アフ・パキ国境に暮らす人々の多くは殆ど総てがアフガン人であり、パキスタン人でもあるもの。証拠もなしに掃討作戦などが出来るものか! まず、そんなことをしようものなら国民の理解が得られないわ…
ハッカニ・グループも、「我々はパキスタンからコントロールされているものではない」とわざわざ声明を発表、紙面第1面に写真入り3段抜きだったかで(ロイターの)インタヴューにも答えている。それほどアメリカの「攻撃(口撃)」は紛争に持ち込みたいのだろうと思わせるくらいに大きいと、パキスタン政府も武装勢力も捉え、紛争回避に真剣ということだ。

ハッカニ・グループを掃討せよ!!って強硬に言いつのるのは内政干渉も甚だしいと思うがなぁ~ 水面下の駆け引きは分からないが… 米国の意向に逆らえば米パ両国間はさらに悪化するのだろう。 それにしても… アメリカに振り回され国外退避なんて羽目になるのだけはゴメンだわ。

例年より4週間近くもダラダラと長引いたモンスーンが、ようやく明けた。つい先日までは昼夕と2回の水シャワーが必要だった蒸し暑さから解放され、6ヶ月ぶりにお湯でシャワーをした。湯上りの爽やかさが身に染みる、乾燥した空気が快い。
ただ、モンスーンは上がったものの、南部(シンド州ほぼ全域と一部パンジャーブ州)での洪水被害は依然として続いている。 昨夏、自分たちの畑に被害が及ばないようにと… 灌漑用水路堤を他村(州)の方へ切り落とした人たちの多くが今夏は被災者になってしまったという悲劇。  
過日、国連は昨年に続いて大規模な洪水に見舞われているパキスタンへの緊急支援として合計約274億円の拠出を各国に呼びかけ、日本は約7億6千万円の緊急無償資金協力を実施すると。東日本大震災で復興支援金が必要な日本としては、7億6千億円も惜しいくらいだろう。
昨夏の大洪水では被災者が2000万人、主力産業である農業に約3兆6000億円規模の損害が出たとされている。 それらの復興もならぬうちの大洪水で、野菜を初めとする諸物価の上昇に歯止めが効かない。今週値下がりした(断食中の高騰から、普段の値段に戻った)のは鶏肉くらいのものだ。

いつも温厚なギラニ首相が、過日のアメリカ発言(アフガニスタン、反政府武装勢力タリバーン一派、ハッカニグループをパキスタン政府が支援している)に、「アメリカは我々の長年の努力を全て否定することになる」との声明を発表した。
ギラニ首相だけではなく、多くのパキスタン人たちも同じ思いを過日のアメリカ発言には持ったものだ。なにしろ、オサマ・ビンラディンが911同時多発テロの首謀者でないことを知っていながら、アフガンを空爆した。またイラクに大量破壊兵器がないことを知っていながらイラク空爆に至った。常に「捏造」を声高く言い募って自国の利益のためには他国を誹謗するのが『正義を標ぼうするアメリカ』の常套手段だからな…

来た~来た~来た~~~
13日、カーブルで起こった反政府武装勢力タリバーンが5階建くらいのビルから、米国大使館などをロケット弾で攻撃したことに関連して駐パキスタン米大使が、「パキスタン政府との関係についての証拠がある」と述べたと。これが言いたかったのは分かっていたけれどね。

オサマ・ビン・ラディン殺害発表後、米パ関係は険悪化しているが、駐パ米大使とアフガン政府のコメントによって、さらに米パ関係は悪化かな。具体的にどのようにパ政府が関係しているのかという証拠でも出してくれないとパキスタン国民が納得するもんか! 半武装勢力の中にいた2人がパキスタン国籍というだけではなぁ…

アメリカはパキスタンに対して(アフガンに対しても、否、影響を及ぼす途上国に対して)「ああしろ、こうしろ、あいつとは付き合うな」と言い過ぎだわ。内政干渉になっていると思わないところが凄いな。万万が一、どこかの国がアメリカに対して強権でもって内政干渉でもしたら… どういう態度で応じるのかね??

911同時多発テロから10年が過ぎ、次は10月7日、アメリカが理由もなく(当地に暮らす人間は、そう思っている)アフガンへの空爆を開始した日だ。
忘れもしない、どこかのドアホTV局が、「カーブルへのアメリカの空爆が開始になりました、そこから見えますか。イスラマの様子はどうでしょう?」と、電話取材をして来た日でもあるわ。
「アナタねぇ… 大阪の火事が東京から見えますか?」と冷た~~く返事したな、オバハンは。

911同時多発テロを検証しよう、10月7日の空爆開始から10年、アフガンがどう変わったか…いろいろな面から検証しようというので地味な取材が続いている。正義のアメリカではなく、悪の枢軸アメリカを暴いて欲しい。

本来ならば乾季の9月、ギルギットの母子センターへも行かなくっては…と思っている。しかし北方地域へのフライトは、今月まだ2度ばかりしか飛んでいないと聞くから、今年の天候がいかに異常で悪いか判るというものだ。 昨夏、被災者2000万人を出したパキスタン史上空前の大災害ほどではないが、今年もパキスタン南部では1か月前から洪水に見舞われ、未だモンスーンも明けずに雲や雨の多い日々だ。確かに気温は徐々に下がっている、そして野菜が豊富な季節の到来というのに、洪水のせいでマーケットには野菜が僅少、そして高い。
砂糖も主食のアタ(小麦の荒挽粉)も、はてはミルクやクリームまでもがマーケットには僅少となり、カラチなどの大消費地では粉ミルクを使っているので社会問題(一部、暴動)にもなっていると。
その原因の一つが、生産力のないアフガンでならばパキスタンより高価で売れるからだという。当地で60ルピーのクリームがアフガンでは100ルピーとなれば、生産業者は高い方へ流すわなぁ…


昨日の我が家(店)はアフガンへ行き来する人で、珍しく賑わった。
早朝にはジャララバードの灌漑用水プロジェクトに行かれるペシャワール会のN先生たち。午後にはアフガン北部をウロウロした後、首都で米大使館等の襲撃を身近に体験してカブールから帰ってみえたDr.H  そして夜には昨夏アフガンで誘拐されていたT氏と、イスラーム神学者(日本人)プロフェッサーN氏という豪華メンバーで、アフガン話に花が咲いた。

13日、カブールの中心部で武装集団が建設中のビルに立てこもり、高層階から近くの米大使館やNATO、ISAFの司令部を狙ってロケット弾やライフルで攻撃した事件。何処から何処までが本当の話なのか?どうかと政府の発表を疑問視し、「どんな武装勢力やら??」と思うオバハンだ。 攻撃をしかけた武装勢力は数人、その中には2人のパキスタン人も混ざってたと。 パキスタン人ねぇ… 国境沿いに暮らす人々は大概がアフ・パキの国籍を持っているわ… アフガン政府発表は何が言いたいのかね??

↑このページのトップヘ