2011年01月

日本も厳寒だが、当地もマイナス気温の時期を迎えた。 晴れた日の陽射しは艶めいて20℃を超え春を思わせるが、夕方から朝にかけての寒さは厳しい。にもかかわらず国はガス欠乏という状態で、ストーブの使用にも限界がある(オバハンは例によって痩せ我慢生活でストーブを使用しない)。多くの家庭では調理もままならないという(オバハン宅ではガス使用の多い時間帯を外して調理をしている)。  またガス利用の車輌などに対しても、「ガスが欠乏している」との理由でガソリンスタンドでは週に3日間しか販売をしないとあって、スタンド前の道路は長蛇で渋滞が酷い。
国民は国にガスがないと思っているようだが、現実にはそうではないらしい。政府へ国民の不満の目が向かないようにと、「何か1つ、日常生活に不便なことを作り出す」のが常套手段だという。 そういえば…あったなぁ… 2~3年前にも砂糖がない、主食の小麦粉がない、食用油がないとスタッフたちの食料確保に走ったことが…。

さて、2週間近く前にパンジャーブ州の知事が暗殺されたが… 今後はこれが大きく問題を残しそうだと息子も案じている。 知事を暗殺した警護の男は、一部の宗教指導者たちから称賛を受け、逮捕された後は胸を張り、「得意満面」で裁判所へ表れ、迎えた人々や弁護士たちから「バラの花びら」を振りかけられ讃えられたと報道されている。
しかし、こうした「殺人」が許され正当化(情状酌量などの余地)があるならば、過激派などの「やりたい放題」に拍車をかけると良識派は案じている。 弁護士協会では、暗殺犯の弁護に手を挙げた約300人の弁護士、裁判所で暗殺犯を讃え花びらを振りまいた弁護士を協会からの除名をしたとも伝えられている。 暗殺された知事も、「イスラーム冒涜法改正」について、ごく良識的な意見を述べたに過ぎなかったにもかかわらず、暗殺されてしまったのだから、今後は何事につけ、自分の意見は公には出来ないと言う風潮に繋がってしまった。

知事の葬儀で祈りをささげる聖職者が見つからなかったのも、その表れの1つだ。葬儀で祈りでもしたならば、たちまち原理主義の宗教家たちから「暗殺指令」が降るやもしれない。パキスタンは別の暗黒社会へと突入しつつあると言えるかも。 ますます暮らし難い国になっている…

一年で一番、夜の長い冬至から20日が過ぎようとしている。ここ数日の最低気温は0℃と低いが日射しが延び始め、きのうから日射しに力が出てきた。日本は今からしばらくが厳寒だと思うが、当地イスラマバードは今から春に向かう。しかし季節は春に向かうが…… 経済が春を迎えることになるのは何時なのか。

治安の悪化で観光客が、ここ数年減り続け、この3年は氷河状態。オバハンの経営する日パ旅行社などもパキスタンの現状を知っている常連さんしかトレッキングに来られないし、オバハン自身の事務所も閉めてしまえば不便をされる方があるやも…と思って、閉めるに閉められない。 もっとも日パ・インターナショナル事務所(IATA登録)の方は、閉める気もないけれど。 まぁ、いずれにせよ元気な間は事務所を続けておかなくっちゃ。 
だが国営観光公社(PTDC)は手持ちのホテルを捨て値同然で売りに出している。PTDCでは、すでに何年か前から手持ちのホテルを手放しつつあったが、この観光氷河期を乗り切るためには、すべてを民間へ移譲するしかもはや手はないようだ。

地政上の理由でパキスタンを絶対に手放せないというアメリカさまが落として下さるはずの大枚の「お金」で、今年になればパキスタン経済が上向くと経済学者たちは言っていたが…  議会の混乱で国際通貨基金の支援も得られるのが遠のいた。 パキスタンでは軍を背景に持つ、ある意味、独裁的な政府でないと、この脆弱な国、まとまりのない国民を引っ張って行けないようだ。 民主主義国家が「絶対善」とは、このパキスタンに30年余も暮らしてしまったオバハンなどには思えないが、欧米日は民主主義国家でないと(民主主義国家の体制を整えないと)支援の手をのべないようだ。
それにしても、まったく期待をしていなかった以上に、というか期待していなかったのを大きく下回っているPPPの政権には情けないばかりだ。この寒空に燃料のガスもない、電気もない、(洪水があったとは言え)諸物価の値上がりは言をまたずエスカレーション。
ワシントンポストでもPPPによる政治をボロカスに貶している。

つい1週間ばかり前に連立を解消すると騒ぎ、政権から離脱した筈の与党第二党のMQMが政権に戻った。自分たちの言い分が通ったからとスンナリ戻ったのは、まぁ柔軟な姿勢と評価が出来ないことはないが… まったく判らんパキスタンの政局だわ(日本も似たようなものか)

4日のパンジャーブ州知事暗殺の報を聞いて、すぐさま「これでザルダリ政権の延命がなった!!国民の目を政権から遠ざけることが出来た!」と喜んだ政府幹部があった時には、「ホンマかいな?」と首を傾げたオバハンだったが、本当に「そうなったわ」。 もっとも今回の「連立離脱と、戻り」とは関係がなさそうだが。

MQMは、国民が15%もの諸物価上昇に苦しんでいるのに(実質は去年の今頃から比べて30%にも50%にも思えるが)、政府がガソリンの政府統制価格の引き上げたことが連立離脱の理由であるとしている。今回、政府は燃料の値上げを見送ったようで、MQMは燃料の値上がりを抑えた功績は我らにありと、鼻高々だ。
事実、燃料の値上がりが抑えられたのは有難い。旧北方地域(ギルギット・バルティスターン州)などでは、燃料が1本道のカラコルムハイウエーを通ってしか入ってこないために、タンクローリーでの運び賃が嵩むから燃料を運ばないと半ストライキの状態だったため、通学用バスなどを走らせる分がないと、大学などは12月半ば頃から休校になっている。 
オバハンもセンターが始まる2月になっても燃料がないなら、どうしょうか?と案じていたものだが、これで少しは解消されるのかな?

昨日の州知事暗殺を受け、きょうから学校とオフィスなどは3日間の臨時休み。で、PPPでは14日間の喪に服すという。

明後日から1年契約の団体さんが宿泊するというので、あれこれ少しでも不備なところは直しておきたいと思うオバハンだ。 が…大理石の床研磨には泣かされている。ヤツらは「2~3日で終わる」と言ったのに、きょうですでに5日。それなのに1階のフロアーしか研磨が済んでいない。でかい砥石2種がモーター音も賑やかに動いているが、扱う作業員は携帯電話で長々と話をしているか、作業員同士でおしゃべりをし、何時になったら床の研磨がすべて終わることやら。
 
実はオバハンの悪質な咳の原因の1つが「埃」ではないかということになって、事務所の模様替えと、5つある本箱を放り出すことになったが、床研磨が終わらないと本箱を移動できないという。新しい本箱が出来あがるのにすでに1週間以上は待った。そしてこの床研磨だ。イライラとストレスも「咳と頭痛」の原因の一つだという。なんだかんだで緊張もしているし、ストレスも溜まるに決まっている最近の生活だ。

「携帯電話を止めてさっさと作業を済ませろ~~」 ついに辛抱たまらん~と、やいやい言い始めたオバハンに、息子が「まぁまぁ…抑えて抑えて。パンジャーブ州知事のように内部から撃たれたらシャレにならんから」と。
「オバハンみたいにヤイヤイ煩く言えば他人の恨みを買うことも多い。ちゃんと説明しておくが、州知事は少なくとも1人から撃たれたのではないからね。昨日の市内での世間話は、自分の警備員や運転手により注意を払い、『警備員さま、お食事はお済みでしょうか?まだならばすぐにお済ませ下さいませ』と丁寧語で話さねばならん…」と、それ一色だったという。
まったく、笑い話にもならん~~

昨日の続き。 パキスタン連立政権、第2党のMQMが昨日、連立与党から離脱したが…  面白いことに野党のPML(N)シャリフ元首相(74議席くらいだったかな)は、現政権PPPを強く支持し、「あと5年は政権維持をしてもらいたい」と強いエールを送っている。
下院は定数342で、MQMは25議席を有しているから、最大与党PPP(人民党)の連立与党は163議席となり、過半数に満たなくなる。

ただし、野党PML(N)が現政権を支持する理由が、これまた凄いというか、なんというか、一般人のオバハンなどが想像もしないことだった。 まぁ、元シャリフ首相の側近が言うのだから、大きくは外れていないと思うが、日本の民主党と自民党など野党の思惑なども、こうして似たようなものかもしれない。
「PPP人民党には、あと5年は政権維持をしてもらいたい。5年も政権を維持すれば、その政権運営の酷さが国民にはっきり判って、2度とPPP人民党が政権をとることはないだろう。ズタズタ・ぼろぼろになってPPPが国民から見放されるように」というものだった。なかなかの作戦だ…
報道では、「PPP人民党政権の不人気から、シャリフ派は次期総選挙での勝利を確信しており、今の議会勢力での政権奪取に消極的との指摘もある」とあったが、ズタボロを願っているのも事実だろう。


ここのところ首都では自爆テロ騒ぎもなく、静かだと思っていたが… やっぱり油断は出来ない。 きょう午後3時過ぎから行く予定にしていた丘の麓にある小さな商店街、外国人向けの品物が比較的豊富にあって、食肉や鶏なども日本のスーパー程度の包装で清潔そうに見えることから、食肉・鶏だけはそこで買うことに決めているオバハン。
たまたま洪水被災地へ行く準備(医薬品の仕分け等)に手間取り、遅くなったのが幸いした。行ってたら…… 時間的にいえば銃乱射に巻き込まれていたかもしれない。自分自身のガードに撃たれたパンジャーブ州知事は病院へ搬送されたが、9発の弾(一説にはマガジン内の28発を撃ち尽くし、体内には20数発入ったといるのもある)を至近距離で受けて即死だたようだ。 知り合いの(特に)アメリカ人たちは、絶対にその商店街へは行かないようにしていると言うし、オバハンも要注意商店街の一つとして数えているが、きょうのように平日で寒空なれば安心だろうとの油断があったことを大いに反省。
州知事暗殺の報に、首都では大通りなどでも暴動を恐れて商店街や事務所は直ちにシャッターを下ろした。明日の洪水被災地行きも治安の見通しが狂ったので一時延期と。

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