2009年12月

朝日新聞のGlobe というのに、アフガン関連の特集が続いている。 アフガンでの民生支援の可能性(深淵)を見つめた、なかなか力の入った報道だとは思う。が、やはり日本人記者の目から見たアフガンそしてパキスタンなのだとも思う。もちろん記者たちの努力は判る。しかし取材先(相手)が記者の取材できるところに限定されてしまっていることに限界をオバハンは感じてしまう。 
深淵を覗いて民生支援を推し進めようとしている日本政府、または日本の国民に何を訴えたいのか。まぁ、読者に判断をさせ読者が声を上げるのならばそれは良いと書き捨てなのか? キャンペーンというものでもなさそうだし… 単なる「見た聞いた書いた」だけに留まって欲しくは無い、もったいない特集だ。 
当地に30年以上も暮らす者としては、日本政府の言う民生支援に寒々とした思いを拭うことが出来ない…。 日本がアメリカ様の言いなりになって出す5000億円もの支援金は、とどのつまりは米軍やNATOの後方支援をすることになり、タリバーン(武装勢力)掃討に使われるとの思いが何処までも付いて廻るからだ。 

日本では仕分け作業第一ラウンドが終って、約2兆円が洗い出されたという。国民の血税であるアフガンやパキスタンへの支援金、それらは見直しされないのか? 現地で、どう使われるかも分からない5000億円、検証不可能なお金=日本国民の血税。それを出すのは、不景気で貧困家庭が増えているご時世、何としても見過ごせない気がする。 誰かの言葉にあった、自国民を欺くことも、国益にかなえば可とされるのだろうか? 

「支援は、ほかの国が平和であることが日本にとってどれだけ大切であるか、ということにつながっていく。相互依存の進むなか、日本だけが繁栄して、安全にやっていける世界ではない。日本には相当の経済力があり期待されている国だという認識を持っていないといけない」と緒方さんはおっしゃっているが、その説明にはイマイチ説得力が無い。血税を使われる側の日本国民の一人として、さらに理解と納得が行く説明を求めたいものだが。

10月の半ば頃からネット回線がオカシイ、きょうもメールが入らない。送信しても相手に届かず、友人からのメールにも受け取れていないのが随分あるらしいが、その代わりになのか???ガラクタのスパム・メールがいっぱい入るようになった。いったい、サーバーはどういうスペシャル・サービスをしてくれているつもりなのか??   まぁ…なんとなく解る気もしているが…

パキスタンへ帰って来て3日、この3週間近くテロがないと息子が言うので「そろそろか…」と話していた矢先、今朝未明のテロ。 幼い子どもがいる朝食での話題ではないと思いつつ、TVをチラチラ眺めながら家人で話していると、3歳半になる息子の娘が耳ざとく聞きとめ、「何時もバクダン、バクダンってパキスタンは困った国よねぇ~~」と。  実は息子の娘は10月の国際大学の爆弾テロ2つを、300m離れた学校で教室から外へ出た時に体験している。 目の前で立ち昇った黒煙、爆風に警官や警備員がピストルを振り回し右往左往。その騒動に巻き込まれて以来、バクダンには過剰反応をする。家の中に居ても外で爆発に似た音がすれば、耳をそばだて「バクダン? バクダン?」と心配そうな顔をするのがいじらしい。トラウマにはなっていそうも無いが…気をつけてやらなくっちゃ。

パキスタン(特に北西辺境州)の状況は相いも変わらず不安定極まりなく、テロの連続だ。 かつ国内ではムシャラフ前大統領が2007年10月に出した「国民和解令」が最高裁で覆され、2年前に逆戻りをした。 まァ、どう考えても「違憲」であったから、多くの国民は納得、喝采をしているかと思いきや、一般庶民にとっては日々食べるのに精一杯で、雲の上の出来事を考えることもないとバッサリ切られた。

和解令の恩恵を受けていたのは6000人も、との報道もある。筆頭のザルダリ大統領などは、アメリカ様の後押しによって(ムシャラフから)和解令の恩恵を最大に受けた口だが、和解令に乗っかったまま身奇麗にしておかなかったツケが来たというべきだろう。和解令後の2年間で罰金を払うなど、さっさと身奇麗にした政府高官や大臣たち、その家族が何人もあったのに。

またまたご無沙汰です。僅かですが日本へ行っていました。

なんとなく居心地が悪く、生活のペースも合わない苦手な日本というイメージだったが、最近は新しい遊びを覚えたので日本行きの辛さが減じている。 田舎にある自宅の台所を改造、パキスタン料理教室に使えるようにしたり、声がかかれば何処へでもパキスタン料理を教えに出張するという過ごし方だ。

ついでにパキスタンやアフガンのことを話し、母子センターの毛糸編み教室で使う等、家で使われずに眠っているだけの毛糸を掘り起こしたり…。 毛糸に限らず、何でも買うのは簡単だが、そこはケチで始末屋のオバハン、なんとしても使われずに死蔵されているものを掘り起こそうと。

 http://www.gaido.jp/clickalbum/detail.php?ID=2243
<http://www.gaido.jp/clickalbum/detail.php?ID=2243&gaido_code=1>

イラクに次ぐ世界で2番目の規模だという在パ、アメリカ大使館が増改築を終え、より堅固になって完成。 オバハン自身は内部を見たことがない、しかし家人たちの言によれば「40年前のイラン大使館篭城444日間の失敗経験に、少なくても3年分の備蓄。緊急時の隠れ部屋や『核爆発にも耐えうる』シェルター等なども完成で、戦争になっても大丈夫なシロモノ」と。 首都内でも国際機関の装甲ランドクルーザーを良く見かけるようになった。日本大使館やJICAも何台もの防弾車の導入をと急いでいるとか(先頃までは大使の車のみが防弾車)。

事態は考えている以上の悪化ぶりだが、2000人もの(軍人ではない)米人がパキスタンで駐在、この3ヶ月だけで250軒もの大住宅(600坪)がイスラマバードだけで借り上げられている。 パキスタン人の良識者たちは、「パキスタンはアメリカに買い上げられた」と嘆く。多くの国民の思惑とは別方向にパキスタンは走っていく様相で、この調子で行けば、さらにアメリカによる「なんでもあり」が黙認されて行きそうだ。
アメリカに協力的(売国奴的)なザルダリ。パキスタンを守るための意志強固なキヤニ陸軍参謀長。元々噛み合っていなかったのだから…亀裂は広がるばかりだろう。単に広がるだけで済めば良いが、アメリカに背を向けることで「制裁を受ける」はめになり、大きく困窮するのは日々、充分に食べられない貧しい者ばかりだ。結果、治安はさらに悪くなるという悪循環が続く。

アメリカはアフガンとの国境地帯にあるパキスタンの部族地域で、ブッシュ時代から無人機による攻撃をして来た。しかしオバマ政権は発足当初から部族地帯だけではなくバロチスターン州でも軍事作戦を求めていたと。 理由は何であれ、戦線が広がれば難民は天文学的に増える。
国連はパキスタンでの治安の悪化(人的被害の大きさに) プロジェクトを10分の1に縮小する意向と。そうなれば…難民対策などは手薄になる… 

オバマにノーベル平和賞を与えた委員会の真の意図を知らないオバハンだから、目の前の現象だけを案じているが、パキスタンにとってオバマはブッシュ以上に危険な存在だ。オバマの平和への取り組みに一瞬の期待をした自分に腹が立つ。

オバマがアフガンへの米軍増派3万人と共に、無人武装偵察機によるミサイル攻撃も承認したと。 先月下旬、訪パのヒラリー国務長官は、学生たちなどと積極的にTV討論をして見せたが…、「無人武装機によるミサイル攻撃は、テロとどう違うのか? それもテロではないのか?」と食い下がっていたパキスタン人女性へは返答が出来なかったようだ。
ブッシュ時代の2008年には通年で約30回の使用だったが、オバマ時代になって、すでに40回以上も使われているという無人武装機… アメリカの軍需産業大手は、次世代無人攻撃機の開発を競っているという。開発に莫大な費用を費やしたのであろうから、実戦に使用せねば意味はない。 軍事産業は開発し、消費して肥え太っていく。そして、それを使命の1つ、経済推進?として考えているだろうブッシュやオバマ。  しかしながら…遠隔操作で人的損害がない無人武装機による攻撃は、国際法違反だ~~

ノーベル平和賞を受賞したオバマは、アフガンやパキスタンで戦線を縮小するどころか、積極的に戦争を推し進めようとしている事実を見逃してはならない。今後1年半でアフガンからの撤退を明示しているが、100人規模でも撤退は撤退だし、アフパクを鎮圧しての撤退ではなくムチャクチャにしての撤退だろうと想うだけに、住民の一人としては腹立ちがおさまらない。

軍事研究団体は、「あと10年20年で米軍の戦力の大半はロボット兵器になるという。しかし圧倒的に有利で強い米国に直面した敵は、テロや大量破壊兵器で対抗する。解決策にはならない」と予測しているという。
まさに、それが、つい先日の(アフガン)タリバーンによるメディア向けの発言だ。「敵米国がアフガンのムジャヒディンに対抗する軍隊を送れば送るほど、ムジャヒディン(イスラームのために闘う聖戦士)の数は増え、その抵抗は強まる」と表明。 アフガンのタリバーンが、ここで自分たちのことをタリバーンと言わず、ムジャヒィディンと言っているところに、今までとは大きな違いがあり、戦争は別の局面に入ったとオバハン自身は考えているのだが。

↑このページのトップヘ