2009年10月

初めは自分のPCが不調なのだと思っていたが、多くも「そう」だというのでサーバーがオカシイと判明。この1週間はメールの送受信にGメールやMixiを使って苦戦していた。普段、使えたものが使えなくなるというのは、実に不便だ。

さて、ギルギットから帰って来て1週間、テロは全国的にも絶えることなくますます過熱している。ハッキリ言って普通の市民生活は出来ない。一般市民(女性)たちもが街頭でテロ反対のシュプレヒコールを上げ出した。
白昼、首都でバイクに乗った男たちに軍用ジープが銃撃され、准将1人と運転手1人が死亡した同日の22日。イスラマバードへ来たことがある人なら知っているだろうアユブ・マーケット(外人登録事務所や警察署、簡易裁判所、アルコール許可取得事務所のある一角)で、これまた白昼から銃撃戦だった…。 通行中の男が着ていたジャケットを脱ごうとしたのを、自爆テロと勘違いして「誰何」した女性警官が、驚いて逃げようとした男に向かって発砲。男の逃げた方向へ向かって何人かの警察官が発砲、それが銃撃戦になった…という、笑えない話。
今の首都は警戒が厳しくて、どこかに必ず警官や兵士、諜報部員の目が光っている。「暑いからとジャケットも脱げない(昼間は30℃ある) お腹の周りを痒いからと探っただけで撃たれる。ジョギングにも散歩にも気軽に行けない」と…
結局、この白昼銃撃戦が市民を狙った無差別テロではなかったので、週明けから学校は再開になったものの、混雑する検問所のある登下校では、通学や外出を見合わせたい気分だ。

パキスタン全土に広がりつつあるテロの多くにTTP(武装勢力タリバーン運動連合体)が犯行声明を出してはいる。しかし良く見れば手口は大きく2つに分かれている。自爆テロ、バイクや車による爆破の多くはTTPかもしれない。しかし訓練が行き届いた数人から10人ものテロリストでの積極的攻撃では背景(操る)が違うと思える。本当の犯人は???だ。

きょうはカーブルでも訓練の行き届いたテロリストたちによる積極的攻撃で、国際機関のゲストハウスが狙われた… 我が家の1軒隣の事務所はカナダのNGOと聞く。裏通りからも車で出入り出来るようにし、、さらには高塀を巡らし始めた。これで近隣の多くが高塀を巡らせることになるのかも。

何処に居ても家(事務所)に引き篭もっている限り、安全はある程度、確保されているものと考え、ギルギットの母子センターに来ている。ここでも宗教抗争で銃撃戦は絶え間ないし、初の国政選挙が近いこともあって油断は出来ない。細心の注意はするが「悩んでもしょうがない」という状況になった。

昨朝、プロペラ機の中で渡された新聞によれば、「15日、イスラマバード市内F11/2地区に所在する検問所において、過激派武装集団のテロ要員2名が逮捕された。その際、自爆ジャケット、手榴弾等が押収された。また残る1人が自爆ジャケットを纏ったまま、その場から逃走」と。 この検問所、今月5日にはなかったから急遽、新設されたのだろう。15日に通った時は車の大渋滞になっていて、「こりゃぁ買い物のルートを変更せねば…」と考えた個所だ。

パキスタン軍は(アメリカ様に尻を蹴られ)13日以降、武装勢力が潜んでいるというワジリスタンに空爆を続け、本格的な地上作戦の準備とか。ならば武装勢力側の反撃も加速するだろう。尻を蹴られているだけでも腹が立つというのに、この上、武装勢力掃討の共同作戦などとの支援条件が付けば、アメリカは何を言い出すことか! 文字通りの「主権侵害」になるのは確実だ。

オバマ大統領は15日、「米議会が先月可決したパキスタンへの非軍事支援法案に署名した」と、これまた昨朝、機内で目を通した。「年間15億ドル(約1360億円)、今後5年間で計75億ドル(約6800億円)を支援し、パキスタンの文民政権の安定化を後押しし、同国内の過激派やテロ対策を強化するのが狙いだ」と。
しかしながら、この法はパキスタン側に核開発関連情報の開示、政治への軍部不介入などを求めていたから、その内容をめぐりパキスタン議会(国内)からも「内政干渉」などと反発する声が大きく上がっていた。

結果、文民いずれの分野にも介入する意図はないとの「説明文書」がアメリカから添付されたというが、はてさて??? アメリカ様の文民支援開始で、いよいよ日本政府も「支援」に本腰を入れるのだろうか? 岡田外相はパキスタンの何を見て帰ったものか?

全国的な治安の悪化、何処にいても安全ではないかも…というので、仕事も無いことからギルギットヘ来た。先の9月、ギルギット訪問時は宗教抗争で外へは出られず、母子センターに篭もって、ひたすらトウモロコシを焚き火で焼いて食べるだけの生活で終ってしまった。 で、きょうはシャカリキになって前回やり残したことの半分を終えた(何時、なにが起こるか?起こった時は退散なので)。 
それにしても何時ものことながらオバハンの「運」は強い。 まず、昨日の北方地域は終日の雨。ギルギット行きのプロペラ機は2便ともキャンセル。通常ならばオバハンの席はキャンセルになった人たちが乗るので1日ズレ、明日の筈だ。だが…我が「日パ旅行社」のスタッフは有能だ! オバハンの席をバッチリ確保して来たわ! 
昨日の雨の名残、雲がやや多く空路は普段より相当、西よりのフライトだったが、山々には新雪が細かなレース状に舞い落ちていて見事だった。

さらには、むふふふふ~~ ラッキー!! 19日~23日の夜はオリオン座の流星群(ハレー彗星が地球接近時に残したちりが起源で、毎年10月20日前後に出現する)がピークで、上手くすれば1時間に50個も見えると! イスラマバードの靄った空とは大違いに、ギルギットの空は雨上がりで透明だ。さらにはほぼ新月という運の良さだ。 10年くらい昔の獅子座流星群では1時間に100個以上見えたから、それには及ばないにしても、相当の見ものになりそうだ。

そして流星を見た後は、先月来た時に作ってもらったバラの花の枕で寝るのだ!バラの花の香りに包まれて寝る、何処ぞの貴族さながらの贅沢さには昨春、バラの花のポプリを作る途中で嵌まった。 緊張した毎日の暮らしの中でも、何時も何らかの楽しみを見出せるオバハン、実に得な性分だと思う。

このところの治安悪化には、さすがにウンザリする思いだ。きょうはラホールで朝から爆破3件、警察施設(訓練所を含む)とFIA(連邦捜査局)ビルの3ヶ所を襲撃され、先般と同じように人質を取られているという体たらくだ… 政府は何をしているのか?話にならんと国民が思うのも無理は無い。
安全な場所でTV画面を見、警察官たちの行動をウンヌンするのは悪いとオバハンも思う。しかしながら襲撃された警察署と連邦捜査局は、以前にもテロリストたちに襲われているのだから情けない。おまけに警官たちは腰が引け、動きもノロノロと鈍く、突撃する塀の前で譲り合いの精神を発揮しているではないか。
きょうは北西辺境州のコハットでも、爆薬を積んだ車が突っ込み警察署が全滅、午後にはペシャワールの学校で爆破テロだというから、目は朝からTVに釘付けだ。武装勢力側、やりすぎだな…

さて、アメリカによる条件付の支援金については、軍や野党だけではなく一般市民からも反対が上がり出している。もっとも一般市民の後ろには野党政党などがあって、糸をひいているだろうことは分かる。いずれにせよ色々な形で反米運動が進んでいるのは確かだ。

しかし一般市民の気持ちは反米だけではなく、反武装勢力へとも強く傾いている。 軍部はアフガンとの国境線を全て封鎖、大きなオペレーションを行いつつあるが、その余波、反発もあって、このところ治安の悪化が急激だし、パキスタン軍の作戦継続や拡大で、さらに報復テロの発生が増えるのだろう。しかし1週間に200人もが武装勢力を名乗るグループに殺害されているとあっては、タリバーン(武装勢力)への肩入れをする一般市民は、ますます減るに違いない。

常日頃から細心の注意を払っているオバハンだが、細心の上にも細心。従業員たちにも不要の外出や買い物を控えさせている。市内を走るにも検問所を極力避け、自爆テロに巻き込まれないように大回りをして走るくらいだ。燃料の節約、環境問題どころではない、自分の「命」には代えられない。

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あららら~~らら~~ ここにもメッセージを書き込んで頂く場所があったのだ…忘れていた。 メッセージを書き込んで下さった皆様方、無視をしていたわけではアリマセヌ!!! 本日、オバハンの価値観に添わない書き込みは、削除しました! しかし、なんなのかねぇ… クッだらない書き込みをして平気な人たち、及び宣伝。似たような価値観のブログへ行って頂きたいと、しみじみ思ったワ!


パキスタンの外相は先日に続いて再びアメリカを訪問しているようだ。外相(ザルダリ大統領など政府)はアメリカがパキスタンへ長期的に関与してくれるようにと希望しているという。 アメリカの長期関与というよりは、アメリカ様がパキスタンへ落としてくれる「莫大な支援金だけ」と言い換えるべきなのだろう。アメリカなどからの支援金がないと、パキスタン経済は成り立ち行かないというから。 しかしながら政府と軍部では支援金をめぐって対立が進み、連日の報道ではアメリカからの支援金を受け取るのか、受け取らないのか?という記事ばかりだ。

「アメリカ上院で先月可決した、パキスタンへの非軍事支援法案」では、5年間にわたって年間1500億円を支援する。その条件は「核政策へのアメリカの介入。武装勢力掃討の共同作戦など等々」となっていて、アメリカによるパキスタンへの内政干渉に繋がるというものだ。 それでなくとも先日の武装勢力によるGHQ襲撃は、「核管理が出来ない軍」というイメージを世界にもたらすことに成功をしただろうから、支援金を出すに当たっては「核の管理」にアメリカが大きな口を出して来るのは避けられない。

支援金は欲しい! しかしながら、「アメリカの支援法はパキスタンの国力を低下させる」という意見が軍部だけではなく、多くの議員にもあるようで、パキスタン議会が拒否をすれば支援金はパキスタンへ入って来ない。 支援金の多くを民生など使うつもりも無く、支援金の何%を懐へ入れようかと捕らぬ狸の皮算用をしていただろう「人」にとっては、気が狂わんばかりに口惜しいことになろう。

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