2009年07月

2年近く前の非常事態宣言で、ムシャラフ前大統領に解任されたチョードリー前最高裁長官ら。その復職を「やむなし」とギラニ首相が命じてから3ヶ月がたったのかな?
その後から強権だったムシャラフ時代が、しっかり変わったことを思わせる一連の事項が続いている。何時の政権交代でもそうだが、政権が覆ると政敵には「報復」が待っている。

シャリフ元首相の脱税や汚職罪など等。またオバハンにも忘れられないのが、「1999年秋にムシャラフが乗った航空機を着陸させないよう指示した」とされるシャリフのハイジャックに対する罪状。 しかし、あの時の軍部によるクーデターは、ある意味、常に危機に備えている軍の水際立った対応が凄かったと印象的だ。
それら数々の罪に問われシャリフ元首相に出されたのは終身刑だったが、シャリフ派の強硬な支援で復権した元判事たちが活躍??、シャリフにはこのたび無罪判決が出された。
シャリフは過去の有罪判決を理由に選挙にも出られず、政界への復帰を妨げられていたが、今回ですべてが無罪となり、障害は取り除かれた形だ。…まったく…力さえあれば何でも通る社会、正義などはあってない社会。これは単にパキスタンに限らず、途上国全般に言える。

対してムシャラフ元大統領は、「大統領立候補資格」など等の罪状で、パキスタンから追われることになった。 おおっぴらに報道されてはいないが、ムシャラフは3週間も前にイギリスへ亡命したという。 ムシャラフは3年以上も前からトルコやイギリスなどに莫大な財産を移動、亡命に備えていたから、今頃は優雅に暮らしているのだろう。

アフガン人=タリバーン(テロリスト)という誤認識は、アメリカや日本人だけではなくパキスタン人(官憲)の中にもある。アフガンに居る事務所のスタッフを青森の果樹園に(研修のため)送り出すにつき、日本語の研修をと思いながら今までズルズルと延期になってい最大の理由が、招聘予定の4月初めよりパキスタンが対テロにつき、厳戒体勢になったからだ。

アフガン人たちが国境を越えた途端、首都イスラマバードへたどり着くまでの間に何十という検問所があり、官憲にアフガン人だというだけで逮捕される可能性が物凄く大きかったのだ。 そして誤認逮捕であっても、一旦捕まってしまえば釈放までの道のり手間暇は大きい。 オバハン事務所の周囲にも情報局員たちが常にウロチョロしている。概ね外国人たちは情報局員の調査対象者だ。オバハンも例外ではない。

誤認逮捕後、釈放されてもアフガン人はマークをされ続けるし、情報員たちがオバハンの事務所をさらに厳しくマークするようになればウザイという一言では済まないと、マネージャーたちがワイワイやかましい。マネージャーたちも、なんとか火の粉を避けたいと必死の様相だ。
さもありなん、反対にオバハンがアフガンへ行くと、30数年もパキスタンに暮らしているオバハンはパキスタンから送り込まれたスパイと見られるからなぁ…。 敵対している国というのは、常に疑心暗鬼であり、そこまで緊迫しているようだ。

しかし果樹園への研修時期やアフガンでの活動時期は限られているので、ついに決心をしてアフガンからスタッフを呼ぶことにした。オバハン事務所のマネージャーたちは、アフガン人が国境から乗り合い車輌を利用して首都へ来ることにも断固反対!!
「どうぞ経費には眼を瞑り、ペシャワールからは某所のレンタカーを利用して下さい」と騒ぐ。
万が一、彼らが誤認逮捕をされた場合に、アフガン人とオバハン事務所の関係が当局に文書で残ることは、後々問題になるというのだ。某所のレンタカーが火の粉を被るのはしょうがない、オバハン事務所が文書に残りさえしなければ良いと言うのだ! パキスタンとアフガンの関係が良く見える。

日本各地では大雨との報道。当地でもようやく3週間ぶりに1時間ばかりの雨が降り、気温が下がって久々に熟睡。エアコンナシ、ストーブなしのやせ我慢・サドマゾ生活に、「どこまで頑張れるのか!」と、生き甲斐を感じているオバハンだが、体力の消耗は避けられない。でも1時間ばかりの雨で、ようやく夜中に水を2回もかぶらなくても済むまでに気温が下がった。 しかし厳しければ厳しいほど、僅かなことでも幸せに感じられるから、幸せを噛み締めるためにも、普段からの楽チン生活は敵だぁ~!

起きぬけの空気も少し湿り、冷んやりしているので野外大バザールへ早朝から買出しに行った。朝7時を過ぎると暑さはうなぎ上り。またテロに遭遇するのも怖いので、買い物は人出の少ない早朝に限る。 数年前までは、真夏ともなれば暑さで葉物野菜などは見られなかったが、最近はお金さえ出せば結構なんでも揃うようになっており、生活者には有難い。

家を出てすぐ近くの道路で、首都ではまず見かけない古い(40年くらい昔の)幌ナシジープが荷物を満載して走っているのに出合った。幌ナシの古いジープ??と疑問を感じ、車輌ナンバーを見たら「マルダン」だった。 あぁ…武装勢力の掃討作戦で住んでいる町から追い出され、国内避難民になってキャンプにいた家族が、親戚の家にでも寄宿するのか…まったく大変な出来事だ。
今朝、たまたま見た英字紙によれば、首都でコレラの発症を保健省が確認と。 またマルダンなど幾つかの国内避難民キャンプではコレラが発症しているとの報道だった。政府の施策により、キャンプから撤収を余儀なくされる避難民たちがアチコチへ移動、コレラを運んでいるのは否めない。
スタッフたちにも手洗いの励行、外食の禁止を言い渡さなくっちゃ…

う~~む、暑い!  夏はエアコンナシ、冬はストーブなしのやせ我慢・サドマゾ生活に「自分なりの意義」を見出して生きてはいるが、きのうきょうの暑さは久々だ。夜明け前でも気温は下がらず、窓も開けられない。温度計は朝でも室内で35℃を指し(最高気温は43℃)になっているではないか! ここ1週間ばかりは夜中に2回も水をかぶり、濡れたままの身体に薄い服を着つけて寝るという生活になった。扇風機が廻っている間は気化熱で涼しいが、1時間余で完全に乾いてしまい身体は再び暑さに押し包まれる。いやぁ~~なかなか厳しい!
息子はエアコンを使えと言うが、環境問題を鑑み徹底的に抵抗しているオバハンとしては簡単に妥協できない。しかし…睡眠不足になってボ~~ッとするようになって来たから昼間は事務所へ逃げ込んで時々、涼をとっている。 この暑さを知らずして、「暑い国の人間は怠け者だ」と言って欲しくない。一般庶民はエアコンのない暮らしをしている。この暑さの中で普通に働けたら不思議だわ。
武装勢力掃討オペレーションで町から逃げ出し、否応ナシに避難民キャンプに入っている人たち、電気もない(扇風機もない)中での暑さ、辛さはオバハンの比ではなかろう。

政府はキャンプに居るスワット地区の避難民に対して、「生活再建支援金」とやらを従来の2万5000ルピー(3万円)から3倍に増額すると。政府のバラ撒きに近い再建支援費には日本からの支援金も当てられるのであろうか? 9万円という金額は一般庶民の1年分給与にも当るが、壊れた家の再建などなど9万円では厳しいだろう。
キャンプにいる避難民を自分の町や村へ1日も早く帰すことで、「掃討成功」と位置づけたいと報道されている。しかし、現実問題として、武装勢力は周辺部の山村部へ散らばっただけで、軍が駐屯して治安を完全確保しない限りスワット地区が再び武装勢力下になるのは遠くないだろう…と、オバハンなりに考えている。


ペシャワール市内から西へ小さな川を越えただけのカチャガリ避難民キャンプ。2年前までは何と言うこともなく気軽に行けた場所なのに… 1昨年秋くらいから治安の悪化が甚だしく、昨春は日本人が狙撃された。従来からのペシャワール住民も、余裕のある家族たちはタリバーン化しつつあるペシャワールに嫌気がさし離れ(始めて)いる。
昨日はUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の職員と警備員が武装集団の銃撃で死亡したと。 最近では、アフガンの首都カーブルよりもペシャワールの方が何倍もリスクが高いと国際機関で勤めている職員たちにも言われているが、本当にそのとおりだ。 「UNHCR仮設事務所の前で武装集団が職員を拉致しようとした」など、以前ならば考えられない厚かましい行動で、暑苦しい夏だ。

暴動があった中国ウイグル自治区の中心都市ウルムチでは、金曜礼拝の本日、主要なモスク5ヶ所が閉鎖されたとの報道。モスク関係者と字幕にあった人が、「我々の安全確保のために、政府当局が配慮してくれた」など、中国政府にエラ~~ク阿る発言をしていた…

イスラーム教徒にとって金曜礼拝は特別だ。某紙などはウィグル族にとって「重要な習慣」と表現をしていたが、礼拝は単なる習慣にはあらず、イスラーム教徒としての義務だわ! もっとも礼拝はモスクに限らず何処ででも出来るが。 ただし強権によってモスクを閉鎖されれば大問題に発展するから、当地では追悼集会と重なる金曜礼拝にパ政府としても配慮をしたようだ! まぁ、中国政府の人権無視ぶりは、今に始まったことではない。

緊張していた赤色のモスク2周年追悼式は7月7日から予定されていたが、きょうまで道路も封鎖されずに静かだったことを思えば、それらは当局によって阻止されていたのであろうか? しかし、さすがにきょうは金曜礼拝日なので、昼近くから風に乗ってアザーンや祈りの声が高く低く、延々と流れている。モスクの周辺には日除けのテントが幾張りも張られ、多くの人々が暑さにもめげず祈りながら殺された人々を涙と共に偲んでいるのであろう。あるいは政府への報復を自分に誓っているのかもしれない。

本日はモスクの半径1km半は通行禁止。重い装備を身にまとい治安維持に務めている軍関係者や警察官たちは、本当にご苦労様だと思う。おかげでオバハンたちは安心して眠れます。

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