2008年03月

本日は新政権下、ようやく各政党から選出され、指名を受けた閣僚たちの「宣誓」が終わり内閣が正式に発足。
ブット元首相の率いていたPPPからは11人が入閣。シャリフ元首相の率いるPML(N)からは8人。2人がANP、宗教連合と部族地帯から各1人の合計24人。

先般のギラニ首相「宣誓」時、ムシャラフ大統領の肩が落ち、顔色が悪かったのは……
新首相自身は「宣誓」をするための式典には出席をしたものの、野党連合の指導者たちは、「ムシャラフを大統領として認めない」とする意思表示で、ただの一人も出席しなかったことによると。
確かに野党指導者は誰一人として出席していなかったワ… 主な顔ぶれは陸海軍最高指導者たちと、その夫人。各国の政府を代表する大使(夫人)たちだけだった…。


29日、ギラニ首相の施政演説。部族地帯に住む「武装勢力との対話」を掲げたことについて、武装勢力側は「米国と手を切るならば対話に応じる」との声明を出したと伝えられている。
アメリカによる一方的な方針の押し付け、「テロリストとは交渉しない」とするやり方が、間違っているのは多くの人が認めている。話し合いもなく力押しのみで物事を解決しようとするのが、アメリカの言う「民主主義」らしいと、何時も憤慨しているオバハンだ…

ようやく新政権になってギラニ首相が「対話を」と姿勢を変えた矢先、本日の当地紙聞一面ではアメリカ(CIA高官)が「パキスタンとアフガンの国境を自ら扱いたい」と発言している神経を逆撫でするような記事を掲載している。 アメリカが望んだような??国民によって選ばれた民主的な政権が、8年半ぶりに戻ったパキスタン。新政権を歓迎するとのメッセージをブッシュが寄せたと思えば、こんどは冷や水か!

アフガンのことはアフガンに、パキスタンのことはパキスタンに任せてやって欲しいものだ。世界が案じるようなことになるやもしれないが、余計な言辞は謹んで暫くは静観して欲しいものだ。
ここパキスタンに暮らす私たちは、心の底から治安が安定することを。そして国民が今夜の食事を心配することなく暮らせる静かな暮らしを願っているのだから。

昨29日土曜、ギラニ首相による施政方針が国会で述べられ、野党をも含む(歴史的な??)満場一致によって「首相支持」が表明されたという。
すでに「ムシャラフ大統領に解任された裁判官の復職など法秩序の回復。対話などを通じたテロの撲滅を『国の重要課題』と位置づけ、すべての勢力に全面的協力を求めた」など、一部は日本でも報道されているが、それ以外は国内的なこととしてか報道されていないようだ。

が、貧しい民衆の味方、ギラニの本領が施政方針に表れていると思うので、その一端を(新聞の見出しから)羅列してみる。①人民党らしく労働者の最低賃金をほぼ2倍にすること。 ②主食(小麦)に対する支援(たちまちナーンの料金が25%安くなった)。 ③首相官邸の経費を40%も削減。 ④大臣の使用する公用車を1600ccの乗用車にすること、航空機使用はビジネス・クラスの禁止。 ⑤官庁や官公舎の修理はすべてストップとすること。 ⑥マドレッサ(神学校)運営の(より良き)見直し。 ⑦生産を高めるための灌漑用水網の整備など等。
無駄は一切合切省き、必要なことは直ぐに着手という方針のようだ…。やり過ぎて足をすくわれないと良いが…

パキスタン人民党(PPP)は政権を取ったものの… 国家予算は破綻しており、実際問題としてギラニやザルダリは夜も寝られないくらいに悩んでいると漏れ聞く…。

さもあろう… 各省庁にはムシャラフに繋がる者たち(次官や次官補)その秘書たちが大きな顔をし、有能な者を押し退け、縁故採用の連発。さらには内容ナシの会議やセミナーを開催。膨大な数の参加者全員のアゴ足すべて等など。更には(日本でもそうであろうが)無駄な道路工事に官公庁舎の改築など等。どこへ国家予算が水泡のごとく消えるのかと思える経費の消耗がここ数年間も続いていた。

すべての面でパキスタンを立て直すことは至難だろう… が、頑張って頂きたい!!

常日頃から、「貧しい民衆のために共に闘おう…」と呼びかけるギラニ。
「ブット元首相が目指した民主化こそが国を救う」。首相候補者に指名された時、そう抱負を語ったと報道されているギラニがきょう25日、ムシャラフ大統領に新首相就任の宣誓をした。
ムシャラフ大統領は(先般の国家建設を祝う日にも感じたが)顔色がくすんで暗く、どこかを病んでいるようだったし、対してギラニは胸を張り、艶々ピカピカ晴れがましい顔色。ムシャラフ大統領も立派な体格だが、ギラニはそれを10cm近く上まわって見えた。胸を張っているギラニに対して肩を落としているからムシャラフが小さく見えたのか?? 最近のムシャラフは飲みすぎだというから、肝臓を痛めているのかもしれない。

さて、一昨日は今週中にも組閣と言われていたが、(ムシャラフ追い落としのためにだけ)連立したような政権の辛さ、なかなかまとまりそうにはないらしい。船頭多くして前途多難…

ただ昨日オバハンが心配していた首相の一存で軟禁などが解かれるのか等、ムシャラフ大統領の非常事態宣言で自宅軟禁されていた司法関係者たち約60人の復職は、「議会を通して決められる」と。司法関係者たちの自宅軟禁を解放指示するに当たってギラニは、「司法関係者は(復職を求める)デモをすべきでない」などと語っているというから、今までにはないタイプの首相かも…と期待。
ギラニが、利権に群がる邪悪な人間たちに染まらないようにと、心から祈ってしまうオバハンだ。

とにかく、8年半ぶりに軍事政権から民政に戻ったパキスタン。ムシャラフ大統領がほぼ一手に握って来た権限の多くが民政内閣に戻ることになるらしい… まずはメデタイことだ。これで治安が落ち着いてくれれば言うことはないのだ。

ギラニは国会で3分の2以上の圧倒的多数票を獲得、新首相に選出された。
新首相に選ばれたギラニ、まずは前最高裁長官を初めとする、反大統領派の裁判官の自宅軟禁などに対して解除指示をしたと伝えられている。(しかし…良く考えてみると… 首相にはそんな権限があったのか??)

ムシャラフ個人の思惑で出した非常事態宣言だし、『解除』は当然のことと言えば当然なのだろうが… いよいよムシャラフ大統領は四面楚歌だ。非常事態宣言を出した強気の頃は、陸軍参謀総長でもあったし、文字通りパキスタンの権力をすべて握って大きな勘違いをしていたのだろう… 裸の王様ムシャラフに何も進言しなかった周囲も酷いものだ。総選挙に負ければ与党から早々と脱出、新政権側についた者の多かったこと…

ギラニは非常事態宣言下、発動された措置の即時解除のほか、昨年12月27日に起きたブット氏暗殺に対する調査を国連に要請したと報道されている。また、今週中には閣僚も決まると。

事務所のスタッフたちも、「絶対に良くなります」と新しい政権に大きな期待を持っている。
何時の新政権の時もそうだが、国民の多くはきょうからでも直ぐにすべてが良くなると勘違いし、期待が大き過ぎ良くなるまでのしばらくを待つことが出来ず、2~3ヶ月でブ~ブ~文句を言うに違いない…
どうして2~3年というスパンで物事を考えたり、待ったり出来ないのか… これは多くのパキスタン人の欠点とも言える。

明日、パキスタンの首相が正式に決まる。
順当な人事だと、パキスタン人の多くが認めると思う。ファヒームPPP党副総裁もギラニの首相指名には「歓迎」を表明しているという。表立っては常に反対を表明しない大人のファヒームならではのことだ。

しかし、ブット元首相の夫であるザルダリ党共同総裁が、5月の下院補欠選に出馬して首相を目指す予定だという。先般の初国会で議員席に(通路を挟んでだったと思うが)シャリフ元首相と仲良く並んで座っていたので、いつの間に補欠選挙が終わっていたのか?と、オバハンも勘違いをしていたのだが… ザルダリが国会議員として正式に出てきたら、温厚なギラニは当然のこととして、素直に首相の地位を譲るだろうなぁ~ もっとも、ザルダリは大統領職にも色気を見せているというが…

昨日はパキスタン・デー。新聞の一面トップはムシャラフ大統領を支持していた与党から大量の党員が新政府への参加を決めたと、賑々しいことだった。連立政府にはPML(Q)を除く全党が参加すると。ムシャラフに忠誠を誓っていたはずの有力大臣たちも、こぞって離党。このあたり、生き延びるための風見鶏的な呼吸は素晴らしい。

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