2007年12月

予想はついていたが、PPP(パキスタン人民党)には心底、呆れたネ…
昨日、PPPの幹部会で新総裁に元首相の長男と、夫のザルダリ氏の2人が共同で総裁の職務にあたると選出された。
父ブットがPPPを創設したとは言え、「ブット家のPPP」と表現すること自体がアタマからおかしい。父ブットが処刑死されたら、母ブットが党首に、母が亡くなったら娘ブットが党首に。娘ブットが死んだら、その息子にって政党なんか世界中を捜してもあるまい。
根本から民主主義が判っていない証左だわ…

おまけに新総裁に選出された息子は19歳。ブットが亡くなりビラワル・ザルダリから急遽ビラワル・ブット・ザルダリと改名はしたものの、政治志向でもなく党首就任に乗り気ではなかったという。
夫のザルダリについては、どこの報道もサラリとしか書いていないが、極悪そのものだ…(怖くて詳しく書けないのはオバハンもだが、オバハンは報道関係者ではないから、報道の義務はないということで…)
党首になることのメリット(利益が)よほどだということだろう…

それにしても、PPPの幹部、有力者、支持者は息子の党首就任に疑問を持たないのか??彼らは民主主義をなんと心得るのか? アンタらはブット王国に仕える人民か!それならブット人民党と名乗りを変えろ! パキスタン人民党を名乗る資格は無い!!
ま、この一件を見ても、ブットの言い続けて来た民主主義の中味が解るというものだ。アホらしい~~~~

車のサンルーフで頭を打っての事故死か? 狙撃によるのか? 自爆によるものかと世間は姦しい。しかし、ブットが死亡した事実は今となっては現実だ。政府はブットの死亡の瞬間を自分の目で確かめろ!とばかりTVで「その瞬間」を何度か放映している… でも、目を凝らし息を詰めて何度見つめても、チィッとも判らん。判るのはカラシニコフではなく大型のピストルだというくらいか? 
病院のベッドで負傷者が「カラシニコフでの発砲だった」というのは、混乱の中で自動小銃を持った警護の者が発砲した? あるいは持っていたのを勘違いしたのかも。

28夜TVで流された、ブットが生前CNN(BBC)の記者に渡していたという手紙、ムシャラフへの激しい批判が書かれてあったという。遺言の方は、その内容が息子によって本日夕方5時(日本時間の夜9時過ぎ)に読み上げられる。
夫ではなく息子が読み上げるのには、ブット家を継ぐものとして世間へのお披露目を兼ねているということだろう。息子は父親側のザルダリ家を名乗らないのか?
アメリカのケネディ家、インドのガンジー家と同じく、ブットの家もこれまでにブット自身、父親、兄弟2人が暗殺あるいは凶弾に倒れている。それを父親より背が高くはなったとはいえ、まだ16、7歳の年若い息子に政党の今後を(暫定党首を選ぶにしても)託すというのか… 確かにそうでもしなければ、最大野党のPPPは確実に分裂してしまうが…

昨日、パキスタンの選管は、総選挙延期の是非を言い出した。
一昨日、予定通りに選挙をすることを望むと言っていたライス国務長官。翌日には「民主化のプロセス進展こそ大切。当初の総選挙日程にはこだわらない」との姿勢を示唆したというから、パキスタンの選管もアメリカ様のお許しを得て、延期の方向へ向けて動き出したようだ。アメリカ様の、「関係政党などが(選挙期日で)別の結論を出すというのなら、われわれは静観する」というコメント。見方を変えるならば、今までは内政干渉をしてた、静観していなかったということだ。

パキスタン全土で吹き荒れた暴動。昨日はやや治まったらしいが、遺言の内容次第では再び荒れる可能性もある… ブット死亡の翌日に銀行は200店舗以上、2000万Rs(4000万円)ものお金が燃やされたという。パキスタン製耐火金庫などは用をなさなかったらしい… この分では貸し金庫も安全とは言えないな。

ブット死亡で、3日間喪に服すというのもあるが、商店も全部が閉まったまま。
開けていれば焼き討ちに遭うというので、堂々と店を開けているところは皆無。わが家には長期篭城用の食料はあっても、日々使う卵や生鮮野菜には余分の買い置きも無く、チョイと不便になって来たな…。

でも、年末年始にお迎えするお客様用への料理は用意したいと、朝から開けていそうな店さがし。商店街は一斉にシャッターを下ろしているので、住宅街の中の小さな小さな個人商店、それも店を半分閉めているようなところへ行って、ようやく卵が買えた。

喪が明ける月曜日には店は開くのかな?
もし、生鮮食料品が買えなければ、お正月料理に支障が出るなぁ~~~と、ノーテンキなオバハン…。

それにしても、歴代の元大統領、元首相でも政府が服喪を言うことはないから、ブットは大したものだワ…

今朝のAFPの報道によると、「パキスタン内務省は、死亡したブット元首相の死因について、自爆テロ発生時に伏せようとした際、車両のサンルーフに頭をぶつけたことによるものとし、銃弾や爆弾の破片は遺体から発見されなかったと発表した」と。

「報道官によると、車から身を乗り出して支持者らに手を振っていたブット元首相は、自爆テロ発生時、車内に身を隠そうとした際にサンルーフのレバーに右耳付近をぶつけて頭蓋骨を損傷し、それが原因となって死亡した。自爆テロ犯はブット元首相に向けて発砲したが、弾はそれたという。

知り合いからの聞くところによると、ブットと一緒に同乗していたPPPの幹部2名も、発砲と同時に運転手が急発進したために、ひどいムチウチになってコルセットをしたというから、政府発表には間違いがないだろうと思うが、それに対しブットの側近は政府発表には「根拠がない。嘘八百だ」と非難している。同側近によると「ブット元首相は腹部と頭部にそれぞれ1発ずつ、計2発の銃弾が命中した」と述べているというから、確認しなくっちゃ…

運転手は緊急に際する訓練を受けている人だというから、職務に忠実だったのが解るだけに気の毒だわ…
それにしても、狙撃が因となっての事故死とは、これまた切ない話だ…

一方、情報当局がブット元首相に対する自爆テロ後に、国際テロ組織アルカイダのパキスタン最高幹部とみられる男が戦闘員の1人に祝辞を述べている内容の電話を盗聴していたことを明らかにし、「アルカイダとそのネットワークや戦闘員がパキスタンを不安定化させようとしている動かぬ証拠がある」と述べた」と。確かに電話の盗聴は酷い。一般家庭にまで及んでいるからな…

各地でのPPP集会は物凄く熱い! 危険なくらいに熱い!!

夕方から民放ARY TVが、アルカイダがブット元首相の暗殺犯行声明を出したと報じている。
ロンドンからの帰国前からアルカイダの標的として名指をされていたし、今回のブット暗殺がアルカイダの可能性は高い。が、真実は未だ判らん…

同じく午後からのTV報道は(ブチブチ切れたり、映像が見難くなったりするが)ブット埋葬の様子を延々と報じている。カラチにあるパキスタン建国の父ジンナー廟よりも立派な、ブット廟ともいうべき豪壮なもので、いやはや驚いたな…
ブットの遺骸が入った棺は、近親者やPPPの幹部にの男性に担ぎ上げられ、実家からブット廟までの約5kmを群集に押し揉まれながら、黄色にかすむ砂埃のなかを進んで行った… 報道によると、沿道を埋めつくしたのは数十万人というが、そんなに多くはなさそうだ。

問題??は、治安の悪化に伴い、政府はシンド州の治安当局に、暴徒を見つけたらその場で銃撃する権限を与えたことだ。
形式上は、「罪のない人々の命や公共施設を傷つけようとするものを見かけたら誰であろうとすぐに銃撃しても良い」とするものらしいが、一つ間違えばさらに大きな暴動の元になる。
政府は武装治安部隊の出動も決めているが、下手をすれば非常事態宣言ではなく、戒厳令だ。

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